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昭和の旧車名車とともに 第二部 購入編

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 式が終わると知り合いの女の子が家まで送ってというのです。スラッとした活発な人でバドミントンかなにかスポーツをしていたかな。この彼女、同じ学校でもなければ、同じ職場でもない女の子ですが通学列車は同じでした。オレンジのディーゼル機関車に引かれた旧型客車に一杯乗って通学していたうちの一人で、同級生同士の関係で知ったのだと思います。凄いですね今でもその声が出てくる程はっきりと覚えています。
 その子は振袖を纏い、髪を結って参加していました。なんで私がアッシー君になったのかは今となっては分かりませんが、もう一人は別の友人が乗せ、二台に分乗して善通寺の近くに送ります。助手席のドアを開いてあげると、すっと腰から座り、帯を気にして背筋を伸ばし、やや斜めを向いて座ります。シートベルトなどするはずもないです。
 
さて駐車場から車を出すと道路へ出ます。左にウインカーを出すと・・・・無音・・・
当然ウィンカーも点滅しません。
・・・??あれ・・・・次の交差点は右折、レバーを下げると・・・・無音・・・同じです。乗せた女性はというと、帯の形が崩れないよう座っていますので、左手はドア上にあるグリップをしっかりと握っていますから袖が落ちてきますと白い腕が見えまして、なんとも艶かしい、それを察したのか右手で押さえます。
指示器が壊れたままその子の自宅までお送りし、ありがとうの言葉を残すと髪飾りを揺らしながら遠ざかっていきました。これがこの車の一番の記憶となりました。
その後ヘッドライトも点かなくなり、デザインもおっさんくさくて嫌だったので直ぐに売っぱらいましたが、今振り返るとセダンでもなかなか良いデザインをしているではないかと感じるので不思議なものです。
始めて助手席に女の子を乗せた車で、成人式の記憶と相まって青春の一ページに残る車です。