コメディ・ラブ
女ってやつは
電話越しのゆかの声は震えている。
ゆかはどうしていつもいつも男に依存して生きてんだろう。
勉強もできてかわいくて優しくて自慢の友達なのに。
「まずは自分の仕事しっかりしろよ。それができないなら男と別れろ。うんうん。だからさ、前の男の時も言ったけどさ」
部屋のチャイムが鳴った。
「ゆかごめん。誰かお客さん来たから一回切るよ」
ったくこんなときに誰だよ。私はイラつきながらも戸を開ける。
俺はてっきり年配のおばちゃんを想像していた。
がいろんな意味で俺の想像は裏切られた。
こいつ、こんな普通のアパートに住んでるんだな。
部屋は意外と綺麗そうだな、とくだらないことを思いながら、俺は課長がお願いするのをただ見ていた。
「美香、頼むよ」
「やだよ。なんですねて自分の仕事放り出す女の面倒みなきゃいけないんだよ。」
「オマエそういうの得意だろう。」
あいつが明らかに不機嫌になっていくのがわかる。
「得意じゃねえよ!」
「今度トニーでビールおごるからさ」
あいつこと小山村の母は首を横にふる
俺はエスパーかもしれない。
何故か俺は確信していた。
こいつは間違いなく、すねて自分の仕事放り出す自分とは何の関係もない女の面倒を見てくれると。
課長が深々と頭を下げ、必死に頼む。
「本当にお願いだ。俺の長年夢がかかってるんだ。頼む」
俺も深々と頭を下げる。
「俺からもお願いします。」
あいつはしばらく難しい顔をしていたが「わかったよ」と小さく答えた。
作品名:コメディ・ラブ 作家名:sakurasakuko