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未花月はるかぜ
未花月はるかぜ
novelistID. 43462
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After Tragedy3~帰路~

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岐路


 キュオネと握手を交わした後、暫くの間はキュオネの護身用の魔法の練習が続いた。随分、キュオネはコントロールが難しそうな様子で、あちこちの桜の花びらが散り、シー兄ちゃんの閉じ込められていたこの空間はピンクに染まった。
 結局デメテルがキュオネに魔法を使わせることが難しいと判断したのが夕方だった為、僕らが村の門を潜るときには日がすっかり暮れていた。
 キュオネは、まばらに火の明かりが並ぶ村の景色を眺めては、「あの看板は何か」「あの建物は何か」こそこそ僕らに質問をしてきていた。
デメテルから聞いたところによるとキュオネはまったく人間界に来たことがなく、勝手が分からないらしい。
 通りすがりの年老いた農夫がすれ違い様振り返った。多分、キュオネのシルエットがレーニスに似ていて一瞬驚いたのだろう。
「デメテルさん、キュオネをこちらに本当に住まわせるんですか?」
 僕はさっきから、キュオネが他の人達からどう見えるのか心配で仕方がなかった。
「まあ、そういう内容で約束しているからね。キロがいるから大丈夫だと思うよ。」
デメテルは、わりと心配していない様子だ。

 キロ…キロ…。

 キロという名前は割りとありふれた名前ではあるが、僕は嫌な予感がして、デメテルに聞くことにした。
「キロって、まさか、シー兄ちゃんの母親のキロ・ウインドスではないですよね。」
「そうそう。一昨日、釈放されたのよ。」
デメテルは、ケロっとしたものだった。

 ビンゴか…。