草薙教授の人間学講座
愛とはなんぞや
非常に曖昧で不確かなものだと感じます
永遠に続く愛など存在しないと言いますが、それは本当なのか
それとも、自分が感じていた愛というものは
ただの勘違いでしかなかったのでは無いか
本当の愛というものは、実は冷めてしまったり
失うようなものでは無いのではないでしょうか?
親が子供に大して与え、感じる愛情というものは
元来、どれだけ子供が成長しようと、消えたりはしないものですからね」
「けれど、男女間の愛情は冷めてしまう・・・と?」
「冷める事の無い男女間の愛情も存在するとは思いますよ 相田さん
それこそが、本当の愛なんでしょうね
家族というものは、一つの集合体です
子孫を残し、家系を絶やさない為に、家族を形成して
子供を育てる
基本的に、家族というのはその為にあるものです
昔、一夫多妻制があったのも、少しでも優秀な子孫を残す為に
男は多くの女性と夫婦になりました
もっと昔、男は狩りをして家族を養い
女は、その集合体を守っていた
その名残として、男のコミュニケーション能力は女性よりも劣るし
種を捲く事を本能としているのです」
「では、男性の浮気というのは本能だという事ですか?」
「上手い言い訳に聞こえるでしょうが、そうなんですよ 澤田さん
だからといって、貞操観念という部分で浮気が許される訳では
ないですけどね
SEXというものは、本来は子孫を残す為のものです
現在のように男女のコミュニケーションの一環として
快楽を求めるSEXというのは、本当の意味からは逸脱している
そう言わざるを得ないでしょう
それでも、SEXを介在しない男女の恋愛は成り立たなくなっている
性教育が存在して、中学生や高校生に避妊の指導をする
世間全体が、快楽を目的としたSEXを許していると
言えると思います」
「教授は、避妊すべきでは無いと言われるのですか?」
「本来はね
子孫を残し、立派に育てるだけの資質を持った人たちが
その覚悟を持って性行為に挑むべきってところかな」
「それは辛いなぁ・・・」
「正直な意見をありがとう、本田くん
きっと殆どの男子学生諸君が、同じ意見だと思う
私自身もそれは理想論であって、結婚していた間は
まだ子供を持つべきで無いと思っていたから避妊してたしね
実際、結婚に繋がらない恋愛をしている人は多いだろう
それは何故か
恋愛というものが、現代社会では結婚とは切り離されて
いるからだろう
独りというのが、寂しいという理由で
恋愛対象を求める事も多いだろうし
相手に不満があっても、独りになるのが怖くて
別れるという選択をしない場合もあるだろう
マザー・テレサはこう言っています
愛の反対は憎しみでは無く、無関心だと
無関心になってしまっていたとしても、独りになる恐怖から
離れる事を選択しない事もある
そういった関係でも、無意味だとは限らない
それこそが、それぞれの価値観であり、何が正しくて
何が間違っているかという定義があてはまらない
明らかに間違った関係であっても、本人には
どうする事も出来ない事もある
それが愛や恋愛という事なんだろうね」
作品名:草薙教授の人間学講座 作家名:fool