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草薙教授の人間学講座

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「そうだね、確かにいじめの対象となった人と言うのは
理不尽な理由で、対象となる事も少なくないだろう
そういった人にとっては、加害者であるいじめをする相手は
死んで欲しいと本気で考えるくらいに憎いだろうね・・・

だからといって、その人たちが死に値する
死んでもいい人たちなんだろうか?
犯罪者も含め、生きる価値の無い人たちなんだろうか?」

「死んでいい人が居るとは思いません
けれど、被害に遭った人たちからすれば、そう考えられても
仕方ないんじゃないかって思えます
危害を加えた人たちにも、家族や友人が居ると思います
そういった周りの人たちからすれば、どんなに酷い事をしても
大切な人だろうと思うし
亡くなったりすれば、悲しむ人も居るでしょう

人に与えた痛みは、本人はその時点でその痛みが判っていないんだと思います

同じ痛みを受けた時や、そうなったら自分はどう感じるのか
そういう事を考えられないから
誰かを傷つける事が出来るんじゃないでしょうか
後で、酷い事をしたと気付いたとしても、受けた人の心や体の傷は
癒す為にとても長い時間がかかると思います
もし犯罪ではなかったとしても、誰かを傷つけた報いは
どんな形であれ、受けるべきなんじゃないかとも思えます」

「なるほど・・・とても考えさせられる意見をありがとう 沢野さん

では、人間は何故そんな事をしてしまうんだろう?
誰か意見は無いかな?」

「人って、集団になると本来の自分を見失うんじゃないでしょうか?
僕は、人は基本的には皆善良なんだと思ってます
けど、その時の感情や周りに流されてしまったり
感覚が麻痺する事もあると思うんです」

「ありがとう、酒井くん
確かにそういう事は有りがちなんだと私も思う
朱に交われば朱くなるという諺もあるけれど
どんな世界に飛び込んで行ったとしても、自分を見失わない事は
とても大切な事だね

初心忘れるべからず という言葉は、私の座右の銘でもあるんだが
何かを始める時、一歩踏み出す時に
誰しもが、理想の自分というものを少なからず持っていると思う
けれど、環境や慌ただしさや、周りの雰囲気の中で
その初心を忘れてしまう事は多い
生きていく為には、周りに合せる事も必要だろう
けれど、そんな中で、初心を心の真ん中に持っている事が
とても大切な事だと、いつまでも持って居られたら
少なくとも、自分を見失う事はないんじゃないかと私は考えているんだ」

作品名:草薙教授の人間学講座 作家名:fool