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草薙教授の人間学講座

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「教授 話題は全く変わるんですけど、いいですか?」

「何でしょう?辻君」

「僕、実は裁判員裁判の通知が来たんです」

「ほぉ それは凄いですね
私ももし来たらどうするべきか考えた事がありますが
未だその兆候は無いんですが、もしそうなったらどうしますか?」

「いやぁ・・・来たらやだなぁって思って
だた、以前から思ってたんですが

裁判なんて、全く身近には無いし、ドラマや映画でしか
裁判官とか弁護士とかの実際の仕事内容を知らないんですが
あれって本当にあんなものなんでしょうか?
弁護士は犯罪者を無罪にするのが仕事
検事は有罪にするのが仕事・・・・って
どうも本来の在り方からかけ離れているような気がするんです」

「それはどうしてですか?」

「どちらの仕事も、犯罪者に対して正当な罪の償いを
させる為に、あるべきなんじゃないかと思うんです
何がなんでも有罪にするとか無罪にするとかじゃなく」

「それ、俺も判る気がする
そういう事を考えるから、冤罪なんかが出るんだと思うな
痴漢で捕まったりしたら、無罪でも有罪になるって聞いた事あるし
電車の中でパンツの中に手を入れたりしたなら
それこそ悪質だけど
たまたま当たった程度の事で捕まったりして
脅されて認めて有罪になって刑務所なんかに入れられたりしたら
たまったもんじゃないよ」

「佐藤くん えらく熱いですね
もしかして、捕まった事があるとか・・・?」

「やめて下さい 痴漢なんてしたこと無いですよー
第一、あんな事して何が楽しいのか理解出来ません
余計に溜まりそうです」

「まぁ、私も痴漢の心理は理解出来ません
そうですね
私も辻君の言う通り、司法というものに携わる人は
公平でなくてはならないと思います
裁判官の黒衣の意味は、何物にも染まらないという意味が
込められていると聞いた事があります
弁護士のバッジは外側にひまわり、中央にはかりがデザインされいて
ひまわりは自由と正義を、 はかりは公正と平等を追い求めることを表し

検事のバッジは刑罰や主義主張などを固く守って変えない心の厳しさ
を表していると聞きます

勿論、特に弁護士はその仕事で収入を得る訳ですから
一人でも多くの依頼者を受け入れ、勝たなければ
儲ける事は出来ません
故に、勝つ事に拘るのでしょうし
そうでなければ、依頼者の意に添う形にはならないでしょう

もし弁護士が、依頼者の意に添わず
それ相応の罪を問うとしたら、儲けにはならないかも知れない

弁護士としての在り方に信念を持つ人ならば
大きなジレンマでしょうね

結局は、罪を犯した人も、弁護士も検事も裁判官も警察官も
まずは本当の罪のありようを知り、それと真摯に向き合う
事が大切だという事でしょうね
それは、人としての在り方でもあるのだと思います」


作品名:草薙教授の人間学講座 作家名:fool