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草薙教授の人間学講座

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「人は生きる事に執着をします それはあたりまえの事なのでしょう
生きる上で、何が大切なのか
ただ生きているというだけで意味のある事なのか
それとも目標や夢、達成すべき事
いわゆる生きがいというものを持っていなければ
意味がないのか
それは、人それぞれなのでしょう

生というものに固執するからなのか、それとも死を恐れるからなのか
病に侵されると、それを治したい、元の体に戻りたい
辛さや痛みを取り除きたい
それは、人として当たり前の反応なのでしょう

生きる上で、その人生を豊かにしたい
子供を持ち、家族となり、共に喜びを分かち合いたいというのも
人として当たり前の感情でしょう

では、そうする為には、何をしてもいいのか?

とても深い問題です

死というのは、生きている以上逃れる事は出来ません
けれど、死というものを自分で選択する事も出来ない事があります
尊厳死という言葉がありますが、本人にそれを選択する事が
出来ない状況があり
また、人はそれを許さない状況があります

クローン 体外受精 代理母 臓器移植
そういったものを、神の意思に反する事だという人が居ます
信じる宗教の教えに従って、輸血を拒む人も居ます
堕胎や離婚を許されていない人たちも居ます

けれど、神の教えに従って、大量殺人やテロリストになる人も居ます

神という存在が、この世にあるとしたなら
神は本当にこれらの事を許さない、あるいは許すのでしょうか?
私は無神論者ではありませんが、信じる宗教も持っていません
身内の冠婚葬祭には、身内の儀式に添ってそれに従いますが
ただそれだけの事です

私は、神というものは人の作り出した偶像でしかないと考えています
信心深い方には申し訳無いが、正直に言うとそういう事になります

私の考えでは、人々が一番守るべきものは
神の教えでは無く、我々が住むこの地球と言う星であるべきなのです

地球が存在しなければ、何も生まれる事はなかった
人間が叡智を持ち、人間同士が関わり
文明を発展させ、栄える事が出来たのです

地球が与えてくれたもの、与えてくれているもの
それをどう使うか
与えられたものを有効に使う事が出来れば
それはとても素晴らしい事だと思います

が、しかし
人間は余りに発展しすぎたとも感じます

今、私たちの生活を潤わせているのは、全て地球が与えてくれた
贈り物です
けれどそれを無闇やたらと使い続け、枯渇させようとしているのも事実で
それが今の我々の状況です
けれどもう、後戻りは出来ない

私個人の考えでは、人は自然の摂理に従って
寿命を全うすればそれでいいと思っています

人が死を恐れる理由
それは、痛みや苦しみに対する恐怖なのだと考えています

死が近づいた時、痛みや苦しみを最大限取り除き
安らかにその時を迎える手助けをする事が、周囲の人のあるべき姿だと考えます

どんな事をしてでも、少しでも生きて居たいと望む人も居るでしょう
どんな状況になっても、少しでも生きて居て欲しいと望む
周囲の人も居るでしょう

quality of lifeという言葉があります
文字通り、生活の質というものです

本人が望むのであれば、可能な限り生き続ける事に
手を貸す事が必要でしょう
けれど、本人の意思を知る事が出来ない状況で
周囲の感情で、命を引き延ばす事は
実は本人にとっては、決して幸せな事では無い・・・という事も
あり得るのです」

作品名:草薙教授の人間学講座 作家名:fool