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草薙教授の人間学講座

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「皆さん、おはよう
眠くなりやすい季節ですね
私の講義で睡魔が襲って来る事もあるでしょうが
頑張って起きてて下さい

さて、前回の講義で澤田さんが問題提起してくれました
医学や化学の進歩によって、沢山の命が救われています
いわゆる生命倫理という問題ですね

私はその専門ではありませんから、深く追求する事は出来ません
生と死に医療がどう関わるべきか・・・
体外受精、遺伝子関連、生命維持などの生命科学技術の発展で、あらゆるものが
人によって操作出来るようになりました
臓器移植や、クローンなど
私には説明が難しいですが、ES細胞の研究も進んでいると聞きます
そんな中で、どこまでを許し、どこからが許されないのか

本当に、澤田さん
どうしてこんな事を言い出したんですか・・・?」

「すみません・・・」

「謝りながら笑うのは止めて下さい
この事について皆さんに考えて来て欲しいと言いましたが
意見のある人は居ますか?

井上さん 珍しい
大人しい井上さんが手を上げてくれるとは私は嬉しいですよ」

「あ・・・ありがとうございます
私、おおまかには澤田さんの意見に賛成です
薬や医学の進歩の為に、動物実験をして
その動物の命をないがしろにしているのに
遺伝子操作やクローンは、倫理的に反するという考え方には
疑問を感じます」

「では、それらも許すべきだと?」

「許すべきかと聞かれると、それにも違和感があるんですけど
許さないと言ってしまうと、病気の治療とか
そういったものも、否定的になってしまいそうで
自分が風邪をひいたりした時に飲む薬とかも
もとは動物実験して作られたものだとすると
薬を飲む事にも罪悪感を持たないといけないような気分になりそうで・・・」

「なるほど
生真面目な井上さんらしい意見ですね
他に何か意見はありませんか?

山本くん」

「僕は、助かりたい人が助かって
子供が欲しい人が、何らかの形で子供を持つ事が出来て
その為に科学や医学がどうにか助ける手立てを見つける事が出来るなら
どんどんやって行けばいいと考えますね
何だか、今更何が生命倫理だーみたいなとこがありますけど

どれだけ倫理観に反するとか言ってても
もし自分がその恩恵にすがる時が来たら、それでも
その科学的産物を否定して、諦める事が出来るのか?
と問いたくなりますね」

「なるほど
自分が否定したものを、自分の信念を曲げて受け入れるのか
生きる事や、自分の欲求と現実を天秤にかけた時に
やはり、流されやすいものですからね」

作品名:草薙教授の人間学講座 作家名:fool