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草薙教授の人間学講座

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「懐かしい・・・ですか?」

「そう、私には過去を振り返っても
取り戻したいと感じる人は居ません
妻だった女性とは、今も良い友人として交流がありますが
それ以上の感情は沸いては来ません

けれど、もしそう感じる人が居たとしても、もうその人との関係を
取り戻せな以上、懐かしく思い出すだろうとしか言えない・・・
そう考えただけの事です

互いに共通の何かを持っていない限り、関係が崩れてしまった
人と繋がるものは無くなってしまうでしょう
どちらが原因で壊れてしまったにしても
友人同志であれば、何らかの関係改善も望めるでしょうが
恋愛関係にあった者同士で、いくら片方が関係の改善を
望んだとしても、お互いがそう望まない限り、難しいでしょう

それに、相手の気持ちなど確認の仕様が無いですからね」

「メールなんかしてみたらどうでしょうか?」

「片山くんは、取り戻したい誰かが居るみたいですね
ここで私にそう問う事で、その返答でメールするかどうか
決めようとしていませんか?」

「そんな事は無いです」

「隣の佐田くんの反応は違うと言っていますが
そういう事にしておきましょう

今は、そうですね
メールという便利な機能がありますね
相手が自分のアドレスを拒否していたり
アドレスが変わっていない限り、相手にそのメールを拒否
する事は出来ない
来ればついつい読んでしまうという事もあるでしょう」

「でも、教授
アドレスを変えたり着信拒否していないという事は
相手からのメールを受け取る事が
嫌では無いとか、拒否すべき相手では無いという事では無いですか?」

「そういう可能性もありますね 森田さん
ただ、極端に言ってしまえば、どうでもいいからとか
無頓着だとか、面倒だとか、既に存在を忘れているという
可能性もありますよ」

「それってちょっとショックです・・・」

「まぁ、自分にとってもう関係の無い相手だとしても
そういう事実が発覚すれば、多少なりともショックは
あるでしょうね

最終的に、私が言いたいのは
恋愛というものが、人が生きている上で必要かどうか
それを考えた時に、愛情というものは人の感覚の中では
感情面でとても大きな割合を占めていると思います

その感情は、男女間のものだけでは無く、家族や友人といった
大切な人たちに向けられるものも含まれています

それはとても大切なもので、情緒を安定させてくれるし
思いやりや優しさという部分に繋がっています

ただ、友情や家族愛とは違って男女間に介在する愛情というものは
とても不安定で、曖昧なものと言えるものですし
沸騰したお湯が徐々に冷めてしまうように、時間の経過と共に
ある程度はレベルダウンしてしまうという事です

そんな中で、共に歩む事の出来る
人として大切に出来る相手と巡り合えた時は
その人との関係を大切にしなければならないという事です

恋愛という物は、必ずしも人にとって必要とは言えない
けれど、愛情というものは、必要なんだ

これが、今回のこのテーマでの私の最終的な意見です」

作品名:草薙教授の人間学講座 作家名:fool