ことばの雨が降ってくるまで
もじゃもじゃペーター
この本というか、お話を聞いたのは保育園の頃です。
とにかくインパクトがありましたね。
ようするに、髪も爪も伸び放題で、お風呂にも入らないとみんなにきらわれますよ。というお話なんですけど、このペーター少年の姿形が、トラウマになるほど強烈だったのです。
ところが、数年前、機会があって『もじゃもじゃペーター』の原作『ぼうぼう頭』の復刻版を手に入れました。
それを見て、ワタクシおかしくて笑っちゃいました。
だって、出てくるお話の内容が『ペーター』よりもえぐいの何のって。
指しゃぶりをしている子どもに、大きなはさみをもった仕立屋さんが突然出てきて、指をちょきんと切っちゃうとか、留守番している女の子が、好奇心でマッチを擦って火遊びをしているうちに自分が燃えちゃったりとか。
まあ、もう、むちゃくちゃ!
これを書いたのが精神科医のハインリッヒ・ホフマン。
自分の子どもにプレゼントする本を選ぼうとしたけど、どれもいまいち。では自分が書いちゃおうと作った絵本だそうです。
子どもは大喜び。数人の自分の友人にも好評で、出版を薦められ、出したらたちまちベストセラーとなり、世界中に翻訳本が広がったというものです。
でも、子どもって、意外とこういう本って好きですよね。
大人がやれ残酷だとか、逆に、ちゃんとしないとこんな目に遭うのよとか説教くさいことをいう必要ないんですよね。
子どもはこれを見て考える。怖いと思うかもしれませんが、そういうときはやさしく抱きしめてやればいい。子ども自身が何かを感じ取ればいいのではないでしょうか。
そういう点ではさすが精神科のお医者さんだと思いました。
作品名:ことばの雨が降ってくるまで 作家名:せき あゆみ