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とある王国の物語2

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部屋を出てからきっかり一時間後。どうせ一階に降りるのだから、と綾は歯磨きまで済ませてから自室へと戻った。
「ただいま」
果たして庵は『ささやかな嫌がらせ』に気がついてくれるのか?ほんの少し、期待する。
「あ、お帰り。早かったね」
「・・・・・っ」
無理だった。常識は通用しなかった。最初からあまり期待はしていないつもりだったが、やはり微妙に悔しい。
「別に・・」
無愛想に答えるが、全く向こうは気にもしていないようだった。綾がげんなりと庵を見つめるなか、彼は宙を見上げ、歌うように少し高めの声を響かせた。
「盛りかけのパスタ温めて、食べて風呂入って、髪乾かして、歯磨きまで済ませてきたんでしょ?これで一時間は結構早い」
何なんだ、この男は!とてつもなく悔しくなった。
「くっそ、あえて一時間もかけようと思ったのに・・・・って、盛りかけのパスタ!?何で知ってんだよ!!!?」
唖然とする綾をよそに、庵は少し得意げににこりと笑った。
「お前が風呂入ってる間に歯磨きしてたから。すれ違うように頑張った」
「頑張んなくていい!ったく、何なんだよ・・・」
「バレバレ」
「何が!」
「全部」
「はぁ!?」
「・・・・・」
「あ゛―――――――ッ!!!」
綾は、一階に母親がいる事も気にせず、叫んだ。

作品名:とある王国の物語2 作家名:黒官