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移ろいの中でⅡ 12月12日 廃棄物と金になる農業 追加

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私はその時若くそして本当に世間知らずでした。それは今も変わらずあるかもしれません。嫁さんと遠距離恋愛で付き合い、長女を妊娠したことが分かり結婚しました。できちゃった婚です。まあ子供が出来たら結婚しようとは話していましたが、そうなりました。しかし私が子供ですからそんな生活長続きするはずもありません。悪いところは親に似るもので、好きな人が出来てしまい、そして家庭を省みず家を飛び出し別居しました。一時の恋だけなら良かったけど、本当に好きだった。でもその彼女は耐え切れず私の元から去っていった。それも当然といえるるでしょう。
一年くらいたったとき父が泣くなり、その葬式で子供を連れて嫁さんがやってきました。そして久しぶりに一緒の布団で寝ました、その時嫁さんが布団の中で大泣きしたのを今でもはっきり覚えてます。
少し前、私たち二人は結婚30周年を祝い、嫁さんにステーキをご馳走したときその話になりました。
「あの時は辛かった、でも私はそんなあなたでもどうしてか嫌いになれなかった、ずっと好きだった。それに子供たちにはただの一回もあなたの悪口を言ったことはないのよ、それは私の自慢」
普通の人ならとうの昔に私は捨てられていたことでしょう、私が反対の立場だったらさっさと別れます。その時の心の傷は一見癒えていてもたった一言の言葉でもさっと思い出さしてしまうのでこれはなかなか厄介です。
それでも嫁さんは、人を愛するということはこういうことだと身体で示してくれました。勿論子供たちにも「お母さんはこうやってお母さんにしてもらった、だからあなたたちにします」愛情を注ぎました。そして私の悪口は一言も言わなかった。

私は仏さんの上の孫悟空のようでした。会社でのこともありそれ以来私は人が変わったかのよう性格になりました。今では「あなたもようやく人の親になれたわね、死ぬまでに気がついたらよかったわね」といわれ、今は離れて暮らす子供を気にしては物を送ったり用事をしたりしています。
お陰でそんな父親であっても子供たちは家族大好きで何があっても家族一番。娘は毎年結婚記念日におめでとうのメッセージと二人の間に生まれて本当に幸せといってくれますし、両親は私の理想といい私もようになりたいと書いてきます。それを見るたび私のような男と結婚したらそりゃ大変で絶対に止めときなさいと心の中で思っています。