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シンクロニシティ

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<モンストラス-自動更新不能-田村龍平>



<モンストラス-自動更新不能-春日雄二>



<自動更新解除-命令更新環境-継続中>



 響き渡るアナウンス。それは管轄室で流れるANYの報告と同じもの。壁は全て巨大なモニターが並べられており、その空間の真ん中には一人の男を中心に円形なデスクが囲んでいる。山積みされた書物や電子機器の束の中心にいる男は、アンティークなネルシャツをデニムの中に半分しまい、ベルトで固定した服装の者。大きな体に伸びきった髪。髪をのれんを開けるよう耳に掛け、咲と春日の姿をした男に目を向けた。咲からは資料の山に隠れて見えない男に気づかず、いまだに鮮明に映る外の景色を、まるでハイキングに来た気分で傍観する。



「え! 何ここ! さっき入ってきた入口が下から丸見え! デニム履いてて良かったぁ」



「おお! 来たか! すぐにモンストラス世界に行ってもらうよ!」



「は? あ、すみません、お邪魔して……あの、どういうことですか?」



 円形なデスクから唐突な声。何から言葉を発して良いかわからない咲は言えるだけの事を口から慌てて発すると同時に説明を求めた。隣りに立つ春日の姿をした男はその場から動きもなく、話すこともなく、何かを待っている。



「ああ、心配いらん! 大丈夫だよ! 君らのレントゲンや筋肉量を含めた身体能力はあの階段を下っている最中に解析は終わっているからリンクしても問題ないから!」



 一方的な言葉を投げる男。その言葉は、この場所まで来るまでに全ての体内環境を調べ終わった結論だけを伝えてきた。



「はい? ちょっと、意味が……」



「そうそう! ついでになるべく安全な環境になるように、『ZONE』と『シンクロ』と『フェム』は備えておくから! ああ、あんたの連れはすでに天然装備してるようだからフェムは君だけね」



「え、あの……なんですか? それ」



「ああ、いいんだよ、知らなくて。全部モンストラス世界に入ったら業務内容をインストールしておくから、じゃあリンクするからね!」



 咲と男が立っている床が光りだす。それは七色の光が床から二人の頭部まで飛び上がり、二人を包む。そして七色の膜が体中を覆う。目を隠し、鼻を隠し、口を隠し、体のラインに沿って全身全てを覆う。全身の七色の光は一定した場所にとどまらず、常に体の表面を移動している。

 咲も男も、何もものを言わず、抵抗もなく、両腕をハの字に広げて堂々と胸を張ったままのたたずまいでシンギュラリティ世界から消えた。



【インストール-ZONE-シンクロ-フェム-performミッション】



【インストール開始】



【ZONE-完了】



【シンクロ-完了】



【フェム-完了】



【フェム-second-time+10(秒)】



【ミッション-R-水谷桜-削除】



【ミッション-R-加藤達哉-削除】



【ミッション-S-春日雄二-削除】



【ミッション完了-自動リンク】



【エンジニア-町田仁まちだじん】



【perform-member(任務遂行者)】



【風間咲】



【了解】



【刈谷恭介】



【了解】



「performパフォーム の factorファクター退治だ!! さあ! 二人で片付けてくれ!! あいつらは、俺と管轄で作り上げた世界を全て滅ぼそうとしている!! 特にRの鈴村! いや、加藤達哉!!」



<全惑星-500億年-準備進行中-完了再計算-1時間以内-準備完了後-更新予定>



<モンストラス-全R人類-シンクロ-インストール完了>



 19:13 町田が叫ぶファクター。Rの鈴村がANYへ命令した全てのアナウンスが流れるエンジニアの施設。リンクさせられた二人。命令を削除するための優先順位を下げる最終手段は虹色にリンクソースへ流れていく。運命に誘われた偶然の戦士。その偶然を必然と察することのできる能力を備えて、それぞれの者が見たい未来を思い浮かべながら、意味のある偶然の一致が始まる。

作品名:シンクロニシティ 作家名:ェゼ