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「舞台裏の仲間たち」51~52

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アイラブ桐生Ⅲ・「舞台裏の仲間たち」(52)
第二幕・第二章 「金 美齢(きん びれい)」



 「性の問題と言う意味では、根幹は一緒だけど、
 従軍慰安婦は、人権を蹂躙したという意味でまた別の問題を含んでいる。
 日本における公娼たちの売春の記録は古く、
 日本の公娼制度は、おおむね江戸時代に確立していたようだ。

  農村では、夜這いなどの風習があって、
 それらが、日露戦争のころまでは続いたらしい。
 だから特に地方などでは遊郭は必要なかっただろうが、
 都市部には数多くの遊郭が存在をしていた。

  一番有名なのは吉原で、京都や大阪などの地方にも
 幕府や藩公認の遊郭が多くあり、現在でもその名残は残っている。
 公認の遊郭以外にも、
 私娼も多く、様々な形式での売春が行われていた。
 特に江戸は、男女の比率が異常に偏っており、
 男が多かったために、
 どうしてもそういった場所が必要だったのだろう。

  また江戸時代の遊郭では、基本的に人身売買が横行していた。
 ただし人身売買は禁止されていたために、
 形式上は年季奉公という形をとっていた。
 つまり、貧しい家から娘を買うのではなく、
 娘の労働成果を買うという形式だ。
 だから年季が明ければ家に帰れる、というのが建前だった。
 あくまでも建前であって、実質は人身売買であったし、
 単なる人身売買であれば、
 買われた娘が自殺・逃亡しても売った側は金を返す必要がないが、
 年季奉公であれば、娘が自殺・逃亡すれば売った側から
 金を取り戻す根拠となってしまうという点でより悲惨な状況で
 あったともいえるだろうなぁ」