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コメントのススメ

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批評コメントは必要なのか?


 素人ではありますが、私も長いこと書いてきております。
 気付けば十年を幾つも超えておりました。
 ……で、十年やっていれば、いろいろなコメントを頂戴するわけです。
 「面白かったです! 私の作品も読み来てください!」なんていう明らかに読んでないよねーと思われるものから、「盗作はやめてください。すぐに削除してください」なんていう苦笑もできないようなものまでありました。
 批評を書いてくださる方もいらっしゃいました。
 褒めていただけることもあれば、手厳しい意見を頂戴することもありました。
 いろんな考え方があるものだといい刺激になったのですが、批評を受けることに対して拒否反応を示す方もおられました。

 以前利用していた投稿サイトでの出来事になりますが、批評コメントの是非についての論争が起こったのです。
 詳しい経緯は省きますが、その騒動で得たものをここに記そうと思います。

 まずは『批評コメントは必要なのか』ということです。
 必要でしょうね。
 私はそう思います。しかし、必要だからといって誰でも批評コメントを行って良いとは思いません。
 前述したように、コメントは難しいものです。

 批評コメントと言いましても、「面白かったです」の一言であっても「面白かった」という評価を書いているので批評コメントになると考える方もいるかと思います。
 ここでの批評コメントとは、欠点とその改善策を書いているものを指しています。そういうものを辛口コメントと呼ぶことにします。
 欠点だけを書き連ねているのは「辛口ではなく悪口」と作者は受け止めてしまいがちです。
 悪口を言われれば気分を害するのは当然のことです。

 辛口な批評コメントが必要となるのは、伸び悩んでいるときになります。
 伸び悩んでいる状態とは、本人が溢れる向上心を持っておきながら方向を見つけられていない状態です。
 そんなとき、「ここにこういう欠点があるから、こうすると良いでしょう」という助言をいただけるのは大変ありがたいものです。
 ただし、この手のコメントは難度が高い。非常に。
 東京タワーぐらい高いと考えているのなら、富士山よりも高いのだと考え直さねばなりません。想像より遥かに難しいということです。
 自分は大丈夫だと思っている人ほど、難度を低く見積もってしまうものです。
 自分は大丈夫だ、ではなく、相手は大丈夫か、で判断しなければなりません。
 自分を基準に物事を測ってしまうと、単に自分が可能な高さにまで難度を下げているだけであることに気付けなくなります。

 辛口コメントの難度の高さは、コメントの内容ではありません。
 相手を見極めなければならないという点にあります。問題は、技術でも気持ちでもないのです。
 相手が伸び悩んでいる状態ではない、つまり、助言等を求めていない相手に対して行ってしまうと、相手のやる気を削いでしまうことになりかねません。
 辛口コメントとはいえ「助言」ですから、相手のためを思っての行動でしょう。しかし、結果として相手の足を引っ張ってしまうことになるのです。
 当たり前の話ですが、辛口コメントの形をとった助言を喜ぶ方もいますし、そうではない方もいます。
 コメントの内容云々の前に、相手が必要としているかどうかの見極めが重要だということです。

 「相手が必要としているかどうかを見極めましょう」という提言を行うと、大抵の場合、このような反応があります。
 「誰でも見ることができるWEB上に公開しているのだから以下略」
 省略した意味がなくなりますが、「何を言われても受け入れる覚悟をしておけよ」ということですね。
 この論も間違いではないと思います。
 ただ、相手のためを思っての行動ではないのなら止めてほしいと思いますがね。

 考えてください。
 「相手のためではない助言」とはどういうものなのか。

 たった四文字です。
 「自己満足」
 自分は相手よりも優れているという幻想を守るための助言なのです。
 自分はもっと良いものを書けるんだぞと主張しているんですね。誰に対してかは分かりませんが、自己満足のための行動ですから、相手のためではないことだけは確かです。
 断っておきますが、「自己満足のための行動」そのものを否定するつもりはありません。
 他人を踏み台するような自己満足は止めておくれ、ということですね。
 他者を貶めることで自分は優秀であるという幻想に浸るのは、何の努力もなく簡単にできることです。どんなものにも何らかの欠点は存在するものですからね。

 褒められるばかりでは成長しない、相手のために心を鬼にして辛口コメントをしているんだ! という主張もありました。
 好きでやっていることですから、褒められれば嬉しいし、やる気も出ます。
 しかし、褒められるばかりでは、満足して書くのを止めてしまう方もいらっしゃるかもしれません。私個人の考えでは、そういう方はそれで止めてしまっても良いと思います。本人が満足したわけですからね。


 ここまでは「辛口コメントを付ける=自己満足」のように読めてしまうかもしれません。
ですが、私はそうは思っていません。
 これらは「見極め」ができていない場合に限った話です。

 まとめです。
 辛口コメントは必要です。
 しかし、必要としていない相手に対して行うことではありません。
 相手が必要としているかどうかを見極められないのであれば、行うべきではありません。
 誰のための辛口かを忘れてはいけません。

 次項は、どうすれば見極めることができるのか、についてのお話です。

作品名:コメントのススメ 作家名:村崎右近