バレンタインと小さなさいふ
だから私「そう!?じゃあ買ってあげようかって」言ったのですね。そしたらその子、目をくりくりっとした嬉しそうな顔して
「本当にいいの」って聞きしたが、まさかと思ったんでしょうね「いいよいいよ」と直ぐ断るから、もう一度
「いいよ、どれがいい??」って聞いたら、赤いがま口、小銭入れを指して
「あのお財布がいい」っていったのですが、まあY子さんも引っ込みがつかなくなったからだろうな。
だからそれを買ってプレゼントしたのです。
「本当にいいの」と一瞬驚いたようであったけど
「ありがとう」と言ってくれたのまでは、はっきり覚えている。
赤くてちょっと金糸、銀糸で刺繍が入った小さながま口が透明のプラスティックケースに入ったもの。勿論安いものなんですよ、当時の中学生、お金なんて無いしね。
部屋に帰ったY子さん、嬉しかったし驚いたのでしょうね、きっと。
当時の事だし、男の子から直接そうやってプレゼントされたの初めてだったのかもしれませんね。そのことを同級生に言ったのでしょう「○○君にプレゼントされた」って・・・
さあ、そうしたら、これを聞いた周りの女子が蜂の巣つついたように騒ぎ出し、何人か私のところへ来て「あなたY子のことどう思っているのよ!彼女には○○君がいるんだから」と怖そうな顔で言うわけ、自分のことではないのにね。でもそういう子いましたよね。私は訳が分からなくて・・・
「どうって・・・Y子さんが欲しいっていうからプレゼントしたんだけど」って答えるしかないし、別段下心ないしね。
作品名:バレンタインと小さなさいふ 作家名:のすひろ