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赤のミスティンキル

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 頑丈な蒼いうろこに覆われた四肢。手足に生えた鋭い爪。そして顔つき。それらすべてがドゥール・サウベレーンの姿そのものであった。一本の金色の角を頭の頂点にいただいた巨大な蒼龍こそが、彼本来の姿なのだろう。
 だが今は、蒼龍は人間大の姿へと変貌し衣をまとい、二本の力強い後ろ脚のみで立っていた。
【“炎の界《デ・イグ》”の中心部まで人間が訪れたのは実に久しい。よくここまで来たものだ】
 龍頭の衛士は右手を挙げて、敵意がないことを示した。
【そう怯えなくてもいいだろう? わしの姿が怖いか? ……わしは守護者アザスタン。龍王様に仕える者よ】
 アザスタンはそう言って、細長い金色の目をさらに細めた。






作品名:赤のミスティンキル 作家名:大気杜弥