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つゆかわはじめ
つゆかわはじめ
novelistID. 29805
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落ちてきた将軍

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「家慶様・・・ここは私が・・・」
「来たか・・・いや、参拝してから祠へ向かおうとしたら、この通りじゃ。絡まれておる。」
「ハハハ・・・中々、胆の据わった男よ・・・今日は、遅ればせながら正月の参拝だ。多めに見といてやる・・・とっとと消えな。参拝の邪魔だ」
「あいや、待たれよ。我々が先に参ったのじゃ。お前らは後にせよ」

 取り巻きが、ここぞとばかりに家慶の前へ出ると、その胸ぐらを掴んだ。

「何をする・・・無礼では無いか・・・弱い犬ほど、良く吠えると申すぞ」
「貴様・・・この方を誰だと思ってやがる」
「誰かはしらん・・・だが、博徒であろう?・・・渡世人とも言う。身分も無い、非人ではないか。無礼千万!」
「な・・何だとう!」

 こら・・・待たないか・・親分と呼ばれた男が制した。

「さっきからどうも気になる・・・俺も、伊達に一家を構えてる訳じゃねぇ・・・お前は誰だ。正直に言えば、譲ろうじゃねぇか。まさか、大津組の者じゃないだろうな・・・だとすれば、只じゃ帰れないぜ」
「そんな組など知らぬ。それに、人に名を尋ねる場合は己から先に申すもの・・・渡世人でも礼儀くらいは知っておるだろう」
「俺か・・・俺は博神会の竹内だ」
「ワシは・・徳川家慶である」
「と・・・徳川家慶って・・・おいおい、お前・・・やっぱりバカか?」

 無礼であるぞ!・・・蘭が一喝した。予想もしない蘭の大声に、ヤクザたちは一瞬怯んだが、そこは、可愛いお嬢さんの戯言にしか聞こえない。
 黒いサングラスをかけた二人の男が前へ出た。二人とも百八十センチを超える大男だ。蘭を両脇から取り押さえようとした。それが不運だった。
 蘭は腕を掴まれる瞬間、高く宙に舞った。集団は口を大きく開けてその姿を見上げた。蘭は、体を独楽のように回転させた。刹那、サングラスが飛び、二人の大男は尻餅をついた。
作品名:落ちてきた将軍 作家名:つゆかわはじめ