落ちてきた将軍
「えっ!・・・・3百メートルは軽いわよ・・・えっと・・・尺で言うと・・・せ、せ・・・・1000尺よ!どうやって飛ぶの!?」
「飛遁の術という忍法があります・・・それを使います」
「使いますって・・・ああ、何だかクラクラしてきた・・・それって・・・見れる?」
「はい・・・それくらいなら、今にでも・・・」
「見たい!」
「紀ちゃん!・・・調子に乗るんじゃないの・・・蘭さん・・・気にしないでね」
「すみません、先輩・・・つい、調子にのっちゃって」
「クスッ・・・ならば、これは如何です?」
蘭は、紀子に向かって拳を差し出すと、パッと開いた。蘭の掌から炎が上がった。
「うあっ!」
「火遁の術の、ほんの触りです」
「こ・・・これって・・・幻よね・・・熱くないのよね」
「炎に触れてみてください」
紀子は、身を乗り出して炎を見つめた。確かに・・・蘭の掌の上には、拳大の炎が上がっている。その炎は、紀子の吐息に合わせるが如く、前後に揺れた。どう見ても炎だ。
が、しかし、蘭は平然として、炎を見つめている。紀子は、幻覚だと思いつつも、恐るおそる、右手を差し出すと、蘭の掌で揺らめく炎に、人差し指をかざした。
「大丈夫みたいね・・・・ああっ!あちちちっ!」
「これは幻術(まやかし)です。今、紀子様は、熱そうだと思ったでしょう?だから、熱いと感じた。熱いと感じれば、実際に火傷もします。体が心に反応するのです。」