落ちてきた将軍
「綺麗よ・・・嫉妬しちゃうくらい、綺麗だわ・・・どう例えれば良いのかしら・・・ああ、駄目・・・脳みそまで体育会系なのよ・・・わたし」
「意味がよくわかりませんが・・・紀子様は充分お美しいと思います」
「ハハ、他の人から言われたら、喜ぶかも知れないけどね〜・・・蘭さんは、美しいを超越してるわよ。何で忍者なの?厳しい修行とかしたんでしょう?今の世の中なら、その美しさだけで食べていけるわよ」
「私は、歩けるようになる前から、修練を与えられていたんです。育ての親に口を塞がれ、息を止める訓練とか・・・両足に鉛を巻かれたりとか・・」
「うそ・・・それって、幼児虐待じゃないの?」
「申し訳ございません・・・意味が・・・いずれも、この体を鍛え上げるために成されたことです。幼い頃は、毎日10里を走っていました。」
「十里って?」
「一理は、約四キロよ・・・紀ちゃん」
「え〜〜!?じゃあ、毎日フルマラソンを走っていたって事?」
「もっと凄いでしょう・・・平坦な道じゃないんでしょう?」
「はい・・・山・・・谷・・・沢・・・伊賀谷を走りました。来る日も、来る日もです・・・。」
「きっと・・・・オリンピックに出ても・・・間違いなくスターよね・・・ねぇ・・・蘭さん、ちょっと聞いていい?」
「はい」
「どれくらい飛べる?」
「と、申しますと?」
「う〜〜ん・・・そうだ・・・どれくらいの川だったら跳び越せる?」
「クスッ・・・そのような事・・・どれ程でも飛び越せます」
「いやいや・・・私が言っているのは広い川の事よ」
「はい・・・江戸川程度なら?」