落ちてきた将軍
「はい・・・お供致します」
「蘭よ・・・召喚の術はいつでも使えるか?」
「今、少しだけ時を頂ければ・・・あの術を使うには、気が満ちておりません」
「うむ・・・蘭よ・・・大儀であった。時空を四日も彷徨い、疲れたであろう。先ずは、ゆるりと休むが良い。」
「あの・・・お殿様、お風呂の準備を致しましょうか?」
「そうであるな・・・綾乃殿、頼む」
「私は・・・お風呂など・・・」
「蘭よ、遠慮するな。それに、ここにはお前の敵など、ネズミ一匹もいないぞ。風呂でも入ってゆっくりとするが良い。それに、ここの風呂は芳しいぞ」
「かぐわしい・・・で、ございますか?」
「まぁ、入れば分かる。ハハハ」
「じゃあ、私達は、お食事の準備をします!」
「うむ・・・紀子殿、美穂殿・・・そうしてくれるか?・・・かたじけない・・・蘭よ・・・」
「はい」
「ワシはこの三人には随分と世話になっておる。心根の綺麗な、良い女子達じゃ、心を許すが良い」
「はい・・・」
「ただし・・・」
「ただし・・・?」
「言葉が悪い・・・そこは見逃してやれ」
「それは・・・時代が違いますれば・・・致し方ないかと・・・」
「蘭は、この者たちの身方をするか?」
「はい・・・女でございますゆえ」
「・・・忍者らしからぬ・・な・・・ハハハ」
「あっ・・・・」
「時空で何かあったな?」
「いえ・・・恐らくはその前・・・」
「うむ・・・あとで詳しく聞かせろ・・・興味があるわい・・・ハハハ」
蘭が、微笑んだ。遠巻きで見ていた三人も、微笑んだ。蘭は、自分の心の変化に驚いていた。自分の中で、何かが変わっていた。