小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
つゆかわはじめ
つゆかわはじめ
novelistID. 29805
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

落ちてきた将軍

INDEX|63ページ/105ページ|

次のページ前のページ
 

 室見川の畔。目当ての楠木は、直ぐに見つかった。

「美穂ちゃん、あそこよ、あの楠木だわ。祠もある」
「先輩・・・私、何だか怖い」
「もう、本当に臆病なんだからぁ・・・」
「あの祠の中を覗いて見るかな・・・美穂ちゃん、行くわよ。ついて来て」

 紀子は、逸る気持ちを抑える様に、祠へと向かった。祠の前へ立つと、恐るおそる、腰を折って中を覗き込んだ。鼻息の割には腰が逃げている。だが、これといって変わった様子は無かった。

「美穂ちゃん・・・別に・・・どうってこと・・・無いわね」

 紀子は、美穂の返事が無いので、後ろを振り返った。

「美穂ちゃん・・・どうって事ないみたいよ・・・美穂ちゃん・・・美穂・・・キャー!」
「騒ぎ立てたら・・・この女の首を、掻っ切るぞ」
「ひっ!・・・先輩・・・た・・・助けて・・・ひっ!」
「い・・・一体、あなたは誰なの!?」
「誰でも良い・・・なぜ、ここにいる。そこで、何をしている」
「な、何って・・・別に・・・」
「掻っ切るぞ!」
「わ・・・分かったから・・・話すから・・・落ち着いて」
「私は冷静だ」
「貴女は・・・忍者?」
「掻っ切るぞ!」
「分かったわ・・・多分・・・あなたと同じ・・・ある、お侍さんが江戸時代から・・・ここへ飛んできたの・・・それで、何か手がかりが無いかと、その美穂ちゃんと探りにきただけよ・・・お願いだから、美穂ちゃんに危害を加えないで」
「その侍とは・・・名は・・・名は何と言う?」
「あなた・・・まさか・・・刺客?・・・殺しに来たの?」
「答えろ!・・・名は・・・何と言う!さもなくば、掻っ切る!」
「言う!・・・言うから、落ち着いて!・・・い・・・家慶様よ・・・」
「家慶様がいるのだな!?・・・何処だ!・・・家慶様は何処にいる!」
「綾乃先輩のところに居るわ。ここからそう遠くも無いわ」
「案内しろ」
作品名:落ちてきた将軍 作家名:つゆかわはじめ