落ちてきた将軍
綾乃は紀子の事が気になりながらも、鍵を取り出すと、店のドアを開けようとした。
開けようとしたら、むんずと腕を掴まれた。
「ちょっと待った・・・あんた達、あのバカ女の連れだよな」
「ちょっと・・・手を離しなさいよ」
「舐めた口、聞くんじゃないよ、オバサン」
「オ・・・オバサン!?」
「オバサンはオバサンだろう・・・顔を貸しな」
男は二〇代前半だろうか・・・頬に深い傷跡がある。眉を剃っているのか、その顔は妖怪のようだった。美穂が腰を抜かした。
「ひっ!・・・いやっ!・・・ひっ!」
「こっちの女は可愛いな・・・来いよ・・・可愛がってやる」
「ひっ!・・・イヤッ!」
「止めなさいって!・・・男でしょう?みっともないわよ」
「みっともないのはオバサンだろうが・・・観念しなよ。俺達のバックには博神会がついているんだ。こんな、ちんこい店なんか一時間でぶっ壊してやるぜ」
「博神会!?」
「そうさ・・・知らねぇなら教えてやるぜ」
博神会・・・・九州最大の暴力団組織だ。男の言っている事が本当かどうかは知れないが、もし、そうだとすれば厄介なことになる。
「分かったから、その子に乱暴しないで」
「大人しくしてりゃ、乱暴はしないさ・・・ちょいと付き合いな」
「付き合いなって・・・何処に付き合うのよ」
「ハハハ・・・オバサンよ・・・カマトトぶるんじゃないよ・・・アレに決まってるだろうが・・・」