落ちてきた将軍
「お殿様・・・良いですね・・・余り、出歩いたりしませんよう・・・お願いしますよ」
「分かっておる。あの箱でも見ておくわ」
「それが良いです。チャンネル・・・仕掛けは、これです」
「うむ・・・数字を押せば良いのであったな?」
「はい。その通りです。できるだけ早く戻ってきますから・・・どうか、じっとしていてくださいまし」
「駕篭は、どうやって呼ぶのじゃ」
「かご?・・・まさか、出かける気では・・・・」
「いやいや・・・何かあれば、綾乃殿の店に馳せ参じなければならぬ。場所も教えておいてくれ」
「何かあったらって・・・じっとしてれば、何も起きません!」
「また、癪がでたか・・・やはり、今宵、ワシが診て進ぜよう」
「け・・・結構ですっ!・・・タクシー・・・駕籠屋の番号はそこに貼ってます。それで、これがお店の番号です!・・・何かあったら駕籠を呼ばずに、先ず、お電話下さい!」
綾乃は、 バッグから店のカードを取り出して、家慶に渡した。
「綾乃殿、落ち着きなさい・・・この数字か・・・ここに・・そこの道具で数字を押せば、綾乃殿と話せるのじゃな?」
「お教えした通りでごじゃります!」
「やれやれ・・・言葉が無茶苦茶であるぞ。早く癪を治さねばいかんな」
「うううっ・・・・では、お殿様・・・綾乃、お仕事に行って参ります!」
「うむ・・・気をつけて行くが良い・・・いや、暫し待たれよ」
「ううっ・・・まだ、何か!?」
「これを・・・これを、持って行くが良い・・・東照大権現様の札じゃ」
「えっ?東照宮・・・」