落ちてきた将軍
綾乃殿と同じ香り・・・そう言われて、綾乃は赤面した。昨日、顔を見せろと言われ抱かれた事を思い出したのだ。家慶はその時、綾乃の匂いを嗅ぎ、しっかりと覚えていたのだろう。女に慣れている・・・そう思わずにいられない。
「それは・・・石鹸でございます・・・それをタオル・・・お渡しした布に塗って・・・泡を立てて、体を洗うのです」
「そうか・・・で・・・これは何じゃ」
「どれでございましょう?」
「器が二つある・・・頭を押すと、何やら出てくるぞ」
「そ・・・それはシャンプーとコンディショナーでございます」
「何をするものじゃ?これも、体を洗うものか?」
「そ・・・それは髪を洗うものでございます」
「そうか・・・では、今は必要ないな」
「お好きに・・・」
「綾乃殿」
「はい」
「中に入って、余の体を洗え」
「げっ!」
「背中を洗え」
「そ、そんな」
「余の命令じゃ」
「・・・・ムカつくな・・・」
綾乃は独り言を言うと、ドアを少しだけ開けて中を覗いた。