落ちてきた将軍
竹内親分は高らかに笑いながら背中を向けて去っていった。その背中を集団が追う。綾乃たちは、ヤクザ達の姿が見えなくなると楠木の下で腰を落とした。というより、尻餅をついたと言う方が適切かもしれない。
「あああ・・・・怖かった〜・・・龍は出てくるし・・・あの暴走族の親玉まで出てくるなんて・・・でもう、出来すぎだわ〜・・・このまま映画にでもなりそう」
「ホントホント・・・でも、凄い用心棒が出来たようでラッキーかも・・・売り上げも急上昇!」
「ですよね〜〜お殿様も蘭さんも、神様が授けてくれた福の神でしたね」
「かもね・・・」
「でも・・・やっぱり、淋しいな・・・蘭さんはこっちに残ってくれるのかと思った・・・・」
「うん、美穂ちゃん・・・私も同じよ・・・お殿様と一緒にいっちゃうなんてね・・・でも、歴史を変える訳にもいかないから・・・仕方がないのかな・・・」
「・・・・・・・・・・そうね・・・・・・・・」
三人は楠の木の下で腰を下ろしたまま、空を見上げた。暗雲は全て消え去り、冬の太陽が燦々と眩い光を下ろしている。楠の大木の枝葉の隙間から零れ落ちる光が優しく三人を照らしていた。