時の番人
病院のベッドに横たわり、天井をみつめる
顔は、青白くなり
宝石の様な輝きは、失われようとしている
少女は、もう覚悟していた
この日を迎える為に、悔いなく生きる事を努力していたけれど
それでも、旅立つ事に恐怖感も溢れて来ていた
一筋の涙と共に
「怖いよ」と、小さく呟いていた
生きていたい
けれど、自分が命を永らえる為には
誰かの命が奪われるという事だ
自分には悲しむ家族は居ない
けれど、その人には嘆き悲しむ人が居るかも知れない
そう考えると、生きることを望むのにも
罪悪感が生まれるのだった
少女の胸から延びる3色の細いコードは
生きる証を示す機械の小さな動きに繋がっていた
規則正しくリズムを刻む波形は
少しずつ間延びするようになり
そして
フラットな線となった
青白い穏やかな表情が、もう動く事無くそこにあった
番人は考えた
少女を助ける事は間違っているのか?
今、砂時計を動かさなくて
何の為に持っているというのか・・・・