時の番人
そして、番人は
砂時計を逆さにした
少女が息を引き取る少し前の時間
そこに戻って、砂時計を少女の枕元に置いた
少女が無くなる一日前
移植に適合する少年が、事故を起こした
救急救命センターに搬送された時には
脳の損傷が激しく、人工呼吸器で命は取り留めたものの
脳死状態だった
家族は嘆き悲しんだが、少年は
臓器移植カードを持っていた
自分の臓器全ては、可能な限り移植に使って欲しいという
希望が明記されていた
家族が本人の希望を受け入れ
書類にサインした数分後
少女の状態に変化が現れたのだ
番人の砂時計は、ゆっくりと砂を落としていく
少しでも時間を稼ぐ為に、出来るだけ砂をゆっくりと落とした
少女の周りの空間だけが、時間を失い
色を失ったように、全てが止まっていた