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司令官は名古屋嬢 第5話 『なまりの中で』

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第3章 お手軽インターチェンジ



 少女が運転する車は、阪神高速環状線へのインターチェンジへと走っていた。当然だが、少女はこれからどうするべきかを知っていた。
「ありがとう。君の名前は、八事さんだよね?」
「…………」
上社は、八事という名前らしい少女に礼を言ったが、彼女は黙ったままうなずいただけだった……。
「助かったよ」
「…………」
東山も礼を言ったが、もちろん彼女は黙ったままだ……。
「ねえ、他の狙撃班の人は?」
「……死んだ……」
車に乗れというセリフ以来に発したセリフだ。


 車は、阪神高速へのインターチェンジのすぐ近くまで来た。だが、
「塞がれてるぞ!!!」
インターチェンジの入口は、車数台で塞がれており、進めなくなっていた……。その廃車のすぐ近くには、暴徒がおり、彼らが塞いでしまったようだ……。幸い、暴徒たちは上社たちに気づいていなかった。なぜなら、上社たちが乗っている『カローラ アクシオ』は、覆面式車両として運用されているからだ。普通のタイプとの違いは、無線機が積んであることだけである。
 八事は無言でハンドルを切り、インターチェンジから遠ざかる。
「え〜と、他のインターチェンジはと」
上社はカーナビを操作して、他のインターチェンジを探した。すぐに見つかり、上社はセットする。しかし、すぐに八事にルートを消された……。
「え?」
上社は八事の顔を見る。彼女は黙ったままだ……。
「暗記できているんじゃないか?」
東山の言葉に、上社は納得していた。

 しかし、八事が運転する車は、立体駐車場に入った……。駐車場には、係員も入口のバーも無かった。
「車を乗り換えるの?」
「…………」
車は止まることなく、上のフロアへと上がり続け、屋上に出た。

 すると、八事は車を急加速させた……。車が進む先には、外への柵しか無かった……。
「やめろ!!!」
「落ちる!!!」
上社と東山は、当然の言葉を叫ぶ……。

   ガシャーーーン!!!

 サビまみれの柵が簡単に壊れ、車は立体駐車場から空を飛ぶ……。そして、あっという間に、高架の道路に着地した……。そこは、阪神高速環状線だった……。八事は、高いところから無理やり高速道路にのったのだった……。
「…………」
八事は無言のままで、上社と東山は黙っていた……。
 上社たちの車は、先に行かせた車列を追いつくために、再び走り出した。