四神倶楽部物語
それからのことです、「さあ、ランチタイムよ」と魔鈴から誘われ、用意していてくれていたシーラカンス・ペスカトーレ・ランチを雑談しながらみんなで頂きました。
これで一段落して、嬉しいかな魔鈴が香りの良いコーヒーを、まるで私たちが国賓のごとくサーブしてくれたのです。
「さっ、みなさま、ランチも取られ、ごゆっくりされたと思いますので、ちょっと紹介したい人たちがいます」
私たちは「へえ、何事かな?」と首を伸ばしていますと、隣の部屋から二人の男性と一人の女性がツカツカと入ってくるじゃありませんか。そして私たちのテーブルの前に進みきて並んで立ちました。
「じゃあ、みなさまに、この方々を御紹介させてもらいます」
魔鈴は私たちにそう告げて、一気にあとを続けます。
「こちらがミッキッコさんのお兄さんの貴虎(きとら)さんです。そしてこちらにおられるのが佳那瑠さんの弟さんで、鳳飛(ほうひ)さんよ。それとこちらが悠太さんのお姉さんなのよ。華武(はなぶ)さんと申されます」
私たちはこれを耳にして、腰が抜けるほど驚きました。今にも椅子から転げ落ちそうに。
確かにですよ、魔鈴は私の妹だと告白しました。だけど今、ミッキッコに佳那瑠、そして悠太、私以外の三人にも兄弟姉妹がいるのだと言うのです。全員、しばらく言葉が出てきません。目を丸くして、カチンと身体が固まってしまいました。
「みんな良かったよ。妹がいたのは俺だけじゃなくって。ここまで出掛けてきた甲斐があったってことだよ」
私はそんな言葉しか掛けられませんでした。
しかし、魔鈴は落ち着いた口調で、さらに「私たちは四神民族の末裔です。もう親たちはどこかの星へと消えて行きましたけど。お兄さんたちは幼い頃に地球に派遣され、この時まで生きてきたのよ。そして、お兄さんたちは必然のごとく一つのオフィスに集合し、地球で四神倶楽部を発足させたのですよね。これは運命なのでしょう、だからこうして私たちの兄弟姉妹は再会をさせてもらいました。だからもうお兄さんたちも──目覚めてちょうだい」と。