小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

四神倶楽部物語

INDEX|88ページ/149ページ|

次のページ前のページ
 


「魔鈴、ここは何て言う所なの?」
 私は、なぜこんな所にと考えを巡らせながらも訊きました。魔鈴は「お兄さん、もうそろそろ思い出してよね。ここは魔神岬よ」と不服そうでした。
 それに対し、横にいた佳那瑠が指を差して、「あららららっ、私、思い出してきたわ。あっちの方に魔神村という村があったでしょ。ねえ、ねえ、ミッキッコちゃん、あそこで一緒に遊んだわよね」と。
 これにミッキッコが「ああ、そうだわ、私も思い出してきたわ」と一所懸命に頭を巡らせているようでした。

 こんな二人の様子を見た魔鈴は、嬉しそうに、「佳那瑠さんにミッキッコさん、思い出してくれて、ありがとう」と礼を述べ、「お兄さんも悠太さんも、……、まだ?」と私を睨んできました。
「それがまだなんだよなあ」
 私はそうとしか返答のしようがありません。

「じゃあ、村の集会場へ行きましょう」
 魔鈴はツンと澄まして、前をさっさと歩き始めるじゃありませんか。私たち四人はトコトコとあとを付いて行くしかなく、そして辿り着いた所、それは魔神村の中央にある建物でした。
 そこには集会場と看板が掛かってはいましたが、赤い尖り屋根で実にモダン。魔神岬にある洋風の館(やかた)、その情景は一幅の絵のようでした。

 魔鈴は入口の厚みのあるドアーをギーっと押し込んで、「さっ、どうぞ」と。その誘いに従って入りますと、入り口近くに小さな前室があり、そこを通ると大きなフロアーとなっていました。天井からは豪華なシャンゼリゼが吊り下がり、奥には大理石造りの階段が二階へと。その下には大きな振り子の置き時計がありました。
 その時です、ちょうど時間となったのでしょう、突然時計盤の小窓が開き、カッコウではなく始祖鳥が飛び出してきて、甲高くピーピーと鳴いたのです。これがなんとなく滑稽で、笑わずにはおられませんでした。

 しかし、こんな鳴き声、なんとなく聞いたことあるなあと思い、興味で時計の方へと。時計盤に目を凝らすと、制作・紀元前2,432年との刻印が読めました。
 確かにこの年代にびっくりはびっくりなのですが、私たちはもうこれくらいのことでは驚かなくなっていました。


作品名:四神倶楽部物語 作家名:鮎風 遊