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四神倶楽部物語

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 言葉の最後に、目覚めてちょうだい、こう言い切った魔鈴の目は真剣そのものでした。私たちはそこに意味深い何かを感じ始めたわけですが、まだよく理解できません。
「魔鈴さん、私たちって、何に目覚めたらいいのかしら?」
 ミッキッコも同じ疑問を持っていたのでしょう、いつもとは違う真摯(しんし)な眼差しで尋ねました。

 それに魔鈴と他の三人、つまり先ほど紹介してもらった貴虎、鳳飛、華部が優しく微笑み返してきてくれました。
 そして私と同年配の、自称ミッキッコの兄だという貴虎が少し強い口調で、「龍斗さんたちも、我々が宿命として背負っているミッション、それに早く目覚めて欲しいってことですよ」と。

 悠太もマジになって、「我々が背負ってるミッションて? 確かに最近何かを感じるのですが、正直なところ、それって何なのですか?」と顔を思い切り前へと突き出します。それに今度は悠太の姉と名乗る華武が「私たちはね、縁あって、このグリーンスターに住み、親からの四神倶楽部を引き継いだのよ。そして使命は、この星、いや、そんなに大袈裟でなくとも、未来に向けて、この緑星を守っていく。そんなミッションなのよ。だから悠太たちも同じようにと思ってね」と、まるで可愛い弟を諭すように話すのです。

 私たちはただふんふんと頷くしかありませんでした。だけど話題がちょっとカッコ良すぎて、「それって、砕いて言えば、世直しをしていくってこと?」と言葉をわかり易く変えて確認しました。すると華武は、他の三人の表情を確認しながら、「その通りかもね。緑星を守っていくということを、もっとわかり易く考えれば、四神倶楽部のミッションは──世直しだわ」と深く頷き、同意してくれました。

魔鈴はこれを援護するかのように、私たちをひたむきな眼差しで見据えて、さらにアドバイスしてくれました。
「お兄さんたちも日本で四神倶楽部を発足させたのでしょ、烏滸(おこ)がましいことを言うようだけど、できたらこのようなミッションを打ち立てられたらどうかなと思うのよ。そして、これから先、私たちの四神倶楽部と共に歩んでもらえたらいいなあってことよ」

私たちはこんな話しを重々しく聞かされて、どうしたら良いものなのかわからなくなりました。されども私は一応リーダーです。ここへ招かれてお世話になっている以上、私たちの四神倶楽部として、何らかの返答をするのが礼儀かと思いました。

「魔鈴さんに、それにみなさん、私たち日本の四神倶楽部、それへの貴重な助言を頂きありがとうございます。だけど倶楽部は元々遊びで始めたこと、そこまでいきなり目指すものを高めよと言われても、正直イメージがもう一つ湧きません。だからそちらの四神倶楽部の日常の活動を、ちょっと見聞(けんぶん)させて欲しいのですが、いかがなものでしょうか?」
 私がこんな慇懃(いんぎん)な言い回しで頼んでみました。


作品名:四神倶楽部物語 作家名:鮎風 遊