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四神倶楽部物語

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 ここまでの魔鈴の話しに、私たち四人はインスパイアされたかのように、緑星人たちの生き方が理解できました。つまりそれは、グリーンスターという小さな星を守るために自ら地底へと潜ったということでした。緑星人て、立派! と感心するばかりだったかな。

 そんな時に魔鈴から「さっ、着きましたよ」と声が掛かり、言われるままに天車から降り、その後を付いて行くと、「このエレベーターに乗って、地表へと昇りましょ、そこがお兄さんたちの生まれ故郷でもあり、幼少の頃、みなさんが過ごした所なんですよ」と話してくれるじゃありませんか。

 これに私たち全員は――「えっ?」。
 魔鈴が唐突に言い放った、みなさんが過ごした所、それに言葉を詰まらせたわけで、悠太は一拍おいて、「魔鈴さん、幼少の頃、みなさんがって……、俺らも、ってこと? これから訪ねる故郷ってのは、あなたのお兄さんの、龍斗さんだけの場所じゃなかったの?」と顔に緊迫感が走ってます。

 だが魔鈴はすぐにはこれに答えず、私たちをエレベーターへと誘導し、地表というボタンを押しながら話してくれました。
「そうですよ。だってこの旅行の前に、みなさんも同じようにグリーンスターで生まれたのよと、もし言ってたなら、蜂の巣を突っついたようになっていたでしょ。だから、申し訳なかったのですが、龍斗お兄さんだけにしておいたの。まあ、あとでわかりますから」

 しかし、ミッキッコと佳那瑠は最初から何かを感じていたのか、これをチャンスに自分たちの出生の謎を解き明かしたいのだろう、特にここまでの話しでは驚いてはいませんでした。
「もう覚悟を決めなさいよ、男の子でしょ」
 悠太は反対に佳那瑠から喝を入れられてました。エレベーターはそんなちょっとハラハラドキドキの中で、まことにスムーズに、約500メーターは上昇したでしょうか、地表へと着きました。

「さあ、みなさん、ここですよ、行きましょう」
 魔鈴が案内するままに地表に出てみると、空は赤や青に輝き揺らいでいます。さらに辺りを眺めてみますと、前に大きな海が横たわっていました。その水平線のやや上方には太陽が緑に輝き、まさにこれが本物のグリーン・フラッシュなのでしょう、緑の閃光の世界が左から右へと幅広く広がっていました。
 そして信じられないことだったのですが、私たちが立っている場所、それは明らかに、海に鋭く突き出た岬の先端だったのです。


作品名:四神倶楽部物語 作家名:鮎風 遊