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四神倶楽部物語

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 カプセルの色は乳白色、少し角度を変えて表面を見てみますと、色合いは淡いが赤や青、それに黄に緑、ありとあらゆる色でメタリックに輝いています。まるで宝石のオパールのようです。
 それがあまりにも綺麗で、また神秘的で、私たち全員は思わずゴクリと唾を飲み込みました。多分、私たちはキツネにつままれたような顔をしていたことでしょうね。だけれども、これもまた不思議な気分になったのです。なぜならこんな色調、随分と遠い昔に見たことがあったのでは、と。

 それからです、みんな蘇ってきたのです。それは老婆が話していた通り、確か幼い頃に、私たちはこれに乗ったことがあると。しかしここは冷静に、気を落ち着けてもう一度宇宙貫通カプセルを観察してみますと、その大きさは直径5メートル、高さは10メートルほどくらいで、さほど大きなものではありません。

「ねえ、龍斗ってば、こんな小さなカプセルで──貫くの? 魔鈴さんが話してたわよね、宇宙の距離は本当は着物の帯のように折りたたまれていて、それを宇宙貫通カプセルで、厚み方向に貫き通すのって、……、大丈夫かしら?」
 ミッキッコが不安げに囁いてきました。私はそれに「そうだね」としか返しようがありませんでした。そして横では、悠太も佳那瑠も同じように心配なのでしょう、こぶしをぎゅっと握り締めていました。

 そんな時に、桟橋に垂直に停泊していたカプセル、その外壁が音も発せずに、縦2メートル、横1メートルほどの口を開けました。私はかなり怖かったですが、リーダーとしての手前もあり、「もうここまできた以上、乗り込むしかないよ」と言い放ち、とにかく先頭に立って乗船しました。

 カプセルに勇気をもって踏み込んでみると、そこには2メートル四方くらいの小部屋のスペースしかありません。滅茶苦茶狭いです。それでもエレベーターに乗り込むように、四人はその密室スペース内に収まりました。
 それからすぐさまのことです、入口の扉が音も立てずにピシャリと閉まってしまったのです。

「ああ、もうこれで戻れないぞ。あとは貫くしかないか」
 四人はもう腹をくくりました。しかし、悠太なんか顔が引きつってましたよ。そして、こんな密室状態で30秒ほど待たされたでしょうか、なにか身体が急に変な感じとなったのです。

 どう表現したら良いでしょうか、そうですね、なにかキューッと全身が圧縮されて行くような……、そんな感じだったでしょうかね。きっと私たち全員は同じ感覚を覚えたのでしょう、思わずお互いの顔を見合わせました。


作品名:四神倶楽部物語 作家名:鮎風 遊