四神倶楽部物語
「さあさあ、孫たち」
お婆さんがこう声を掛けてきました。
「俺たちが……、孫たち? なんで?」
私は訝(いぶか)りながら、表示されてある、汚れて読みづらい駅名を確認すると、宇宙カプセル駅とありました。
「早う降りんしゃい」
お婆さんが皺(しわ)一杯の手で手招きしてくれています。それがなんとなく申し訳なくって、「わかりました」と答え、私たち四人はホームへと降り立ちました。
この瞬間のことです、四人ともが異次元的な不思議な思いを抱いたのです。
というのも、そこがどこかで見たような風景だったのです。キャリーバックを横に置き、四人が奇異な感情に包まれてボーとしていると、お婆さんが確認してきました。
「あんたが龍斗だね。それと、このボンが悠太かえ。それにこのお嬢ちゃんが美月子で、このお転婆さんが佳那瑠だね。大きくなったもんだ」
私たちはこの老婆の話しに耳を疑いました。
「お婆さん、私たちのこと、なんで知ってるの?」
佳那瑠が辛抱しきれなかったのでしょうね、すぐに寄り添って行き、少ししゃがみ込み視線を合わせます。
「あっらー嫌だんべ、この孫たち、忘れちまったんケ。ちっちゃい頃にのぉ、何回もここを通ってはるんえ。ほんでもさぁ、あの洟垂(はなた)れ小僧に、あのおしゃまなお嬢ちゃんたちが立派になったもんだんべ。今日はグリーンスターへ行くんじゃろ、さっ、カプセルがすぐにやってくっから、急ぎっちゃ」
私たちはお婆さんの……、もう滅茶苦茶、そう、こんな地方方言ごちゃまぜの語りにびっくりこきやんした。だけどですよ、幼い頃にここを通って旅をしたって?
四人は老婆のこのとんでもない回想に圧倒され、うまく反応できません。ただ、うんうんと頷くだけでした。そして白髪のお婆さんは、こんな私たちに気遣うこともなく、歩みは遅かったですが、先頭に立ってヨロヨロと歩き出しました。私たちはゴロゴロとキャリーバックを引っ張り、とにかくうしろから付いて行くしかありませんでした。