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四神倶楽部物語

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 そんな気弱な気配を感じ取ったのでしょうか、いつも強気な佳那瑠がやっぱり力強く声を掛けてくれました。
「きっとこの先に、私たちの未来が変わる何かがあるのよ。今は足を止めずに前へと進むしかないわ」
 さっすがー、魔界の女です。肝が据わってます。それで私たちは吹っ切れました。そして私はそれに応えて、みんなに檄を飛ばしたわけです。

「ヨッシャー、向こうの方が少し明るいぞ。さっ、気を奮い立たせて、前進!」
 私は正直恐かったですが、先頭に立ち、べんがらの壁に沿ってゆるやかな坂道を下りて行きました。それから100メートルほど進んだでしょうか、5メートル四方のホールに着きました。

――宇宙貫通カプセル旅行に、ようこそ――
 そこには色が褪せ、随分と古びたポスターが貼ってありました。そしてその同じ壁にエレベーターの扉があり、すぐにミッキッコが「きっとここから乗って行くんだよ」とさっさと下降矢印ボタンを押し込みました。

 ミッキッコもまあ度胸があるものだ、と私は感じ入りました。男の悠太と私はずっとビクビクしていて、戸惑いもなくそんな操作はできません。そこへガチャンガチャンと音が聞こえました。エレベーターが到着したのでしょう、ドアーがギーギーと音を鳴らしながら開きました。私たちはもう観念しましたよ。仕方なくキャリーバッグを引っ張って乗り込みました。
 そしてそこにあったたった一つのボタン、それは「ホーム」と表示されてたのですが、ミッキッコがまたなんの戸惑いもなく押し込みました。するとギシギシと軋(きし)む音を発しながら下降し始めました。

 それから、そうですね、地下5階分はエレベーターで下ったでしょうか、ガチャンガチャンと二回の振動があり停止したわけです。ドアーはゆっくりと開き、私たち四人は用心深くエレベーターから降りました。
 出た所はまったくの驚き! そこはまさに普通のプラットホームじゃありませんか。
「えっ、ここって……、地下鉄? こんな所に、なんで駅が? 東京メトロでもないし、これって、何なんだよ!」

 悠太が目を丸くしています。確かにその通りで、どう考えても、この場所に地下鉄が走ってることが信じられません。その疑問を解くように、佳那瑠が「地球・東京駅となってるよ」と古い看板にある駅表示を指差しました。


作品名:四神倶楽部物語 作家名:鮎風 遊