小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

四神倶楽部物語

INDEX|68ページ/149ページ|

次のページ前のページ
 


 グリーンスターへの旅、その出発の日がやってきました。その日は夏期休暇の朝でもあり、オフィスに集合した四神倶楽部の私たち、そうミッキッコに佳那瑠、そして悠太と私の四人だけでした。他には誰もいません。閑散としてました。

 魔鈴(まりん)が話していた。グリーンスターへの旅は宇宙貫通カプセルに乗ってだと。そのためにまずはカプセル駅へと行かなければなりません。そこへの扉は佳那瑠が知ってるはず。しかし、もし知らなかった場合、すぐに探し出して貼り付けてくれると。事実、佳那瑠はその扉がどこにあるかは知りませんでした。だが、先日の四神倶楽部の臨時総会の後、魔鈴が消えて行ったロビー内をいろいろと調べてくれて、奥にある階段の下にその扉を見付けてくれました。

 まず最初に、佳那瑠はその扉があるという所へと私たちを案内してくれました。扉は普通の状態では壁に同化し、まったく見えません。しかし、佳那瑠はその辺りをじっと見つめ、目の前で右手と左手を十回交叉させました。するとどうでしょうか、そこにその扉が浮き上がってきたのですよ。
 それはいつぞやの禁断の扉、その古代蝶鳥(こだいちょうとり)の模様ではなく、大空を舞う不死鳥の文様が彫られてありました。厚みがありそうな立派な扉で、私たち四人は早速その前で円陣を組みました。

「さあ、出発だ。グリーンスターがどんな所なのか知らないが、この旅を思い切り楽しもう!」
 私が声を上げますと、それを受けてか佳那瑠からの元気ある呼び掛けが。「私たちの旅がここから始まるのよ。さあこの不死鳥の扉の向こうへと、みんなで出掛けましょう」と。
 それからです、佳那瑠はその扉をギギギーと押し込みました。

 私たちはこの扉の向こうに一体何があるのだろうかと胸ドキドキです。されどリーダーである私、こと高瀬川龍斗は威勢よく「さっ、出発だ!」と声を張り上げました。そして、その入口となる扉を大きく開け、オフィスの向こう側へと一歩を踏み入れました。
 その後からです、風早美月子(かざはやみつきこ)と貴咲佳那瑠(きさきかなる)、そしてしんがりを守るように北森悠太(きたもりゆうた)が入ってきました。

 さてさて、このようにして四神倶楽部四人の旅が始まったわけですが、一体どういう旅になるのでしょうか?  私たちはもう後戻りできないことを覚悟し、ギギギーと扉を閉じました。
 まずそこにある空間で感じたことは、薄暗くってヒンヤリとした風が吹いていることでした。それから2、30歩ほど歩んだでしょうか、私たちはなんとなく不安になってきました。不死鳥の扉からたった10メートルほどのことですよ、弱虫ですよね。


作品名:四神倶楽部物語 作家名:鮎風 遊