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四神倶楽部物語

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 されども、その脱皮後、佳那瑠さんは疲れ切ったのか、じっと身体を休めていました。
「悠太さん、ありがとう。魔界の女は、その若さを維持するために、時々脱皮するものだと、きっと私の古い記憶にあったのだわ。なぜだかわからないのだけど、このUFOを見て、そして船内の空気に触れてしまったらね、急に、もよおしてしまったのよ──脱皮をね」

 佳那瑠さんはこんなことを話し掛けてきて、さらに懇願してきました。
「だけどね、脱皮後の柔肌、これが一番傷付き易くって危険なの。だから悠太さん、私を守ってちょうだい」 

 僕は、世にも珍しい美女の脱皮を手伝わせてもらいました。しかし、まだ完結していません。佳那瑠さんの願いを受けて、肌がしっかりと固まるまで保護してやる責務が残っていると思いました。
 僕はUFO内の草原で、佳那瑠さんが虫に刺されないように、僕が先に刺されるように、フルッチンになって佳那瑠さんにそっと覆い被さっていました。このようにして1時間ほど頑張ったでしょうかね、佳那瑠さんの肌が少し固まってきました。外はそろそろ日が暮れ始めてるはずです。

 佳那瑠さんの肌は、まだ赤ちゃんのようにぷよぷよとしてました。そのため外傷を受けないように、そっと抱きかかえながら鞍馬山から下山し、東京へと戻って行きました。
 そして、その途中だったわけでして……。ミッキッコちゃんと龍斗先輩が仲良く腕を組んで、京都駅のコンコースをチャラチャラと歩いているのを、僕は目撃したのですよ。

 先輩とミッキッコちゃん、なんでなんだよ!
 こっちはこんなに脱皮で苦労してたのに。あちらさんは、いやらしい結婚前にする旅行か! コンチキショー! 僕はこう心の奥底で叫ばざるを得なかったのですよ。
 後輩の悠太は、私とミッキッコの逢い引き現場を目撃し、こんな落ちまで付けて、佳那瑠の脱皮物語を終えました。


作品名:四神倶楽部物語 作家名:鮎風 遊