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四神倶楽部物語

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「まったくその通りよ」佳那瑠さんの確信に揺るぎはありません。だがその後、なぜかわかりませんが、急に静かになられたのですよね。それからしばらくして、佳那瑠さんがぶつぶつっと言葉を発せられました。「ねえ悠太さん、お願い、ちょっと手伝って下さらない?」ってね。

 その時、佳那瑠さんは悲壮な顔付きでした。しかし僕には、この事態がどういうことなのかがわかりません。
 さらにですよ、僕は神秘なUFOを目の前にして、何もかもが上の空で、舞い上がり状態でした。そのためかまったく無思考で、「ああ、よいですよ」と軽く返してしまったわけです。
 すると佳那瑠さんが「絶対によ!」と強く念を押してくるじゃありませんか。 

 その後は僕に振り返ることもなく、さっさとUFOに乗り込んで行かれたのですよ。
 一方僕はというと、これもまったく無思考で、佳那瑠さんに導かれるように、後を追い掛け円盤の中へと入って行きました。
 龍斗さん、UFOの船内って、そこはまったく不思議なものでしたよ。
 僕たちが普通想像するコックピットや機械的なもの、そして電子的なものは何もなく、単に緑の草原が広がっていただけだったんですよね。そこには牧歌的な草の香りが漂っていました。多分僕はそれに癒されたのでしょう、まるで母親の胎内に戻ったような感じを覚えました。

 そんな穏やかでほんわかなUFOの船内。そこで佳那瑠さんが突然、服をパラパラと脱ぎ捨て始めたのです。
 そして──素っ裸に。
 佳那瑠さんはその妖美な肉体を露わにして、僕にねだってきたのです。「ねえ、悠太さん、こちらにいらして」と。

「おいおいおい、悠太、それって禁断の扉と同じようなセルフだぜ!」
 私は思わず悠太にそう叫んでしまいました。
 しかし、これを聞いた悠太は、素早いリアクションで、「えっ、龍斗先輩、その禁断の扉って何なのですか?」と私の顔を覗き込んできました。

「いやいや、なんでもないよ。悠太のUFO物語を続けてくれ」私はしまったと思い、触れられたくない禁断の扉、そこへと話しが飛んで行かないように必死でした。
 悠太はそんな私の勢いに恐れ入ったのか、「まあまあ先輩、禁断の扉は先輩の秘密としておいて」と、ここは冷静に元の話題へと戻ってくれました。


作品名:四神倶楽部物語 作家名:鮎風 遊