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四神倶楽部物語

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 それから三羽の火の鳥たちは、女王蜘蛛が入ってるガラス箱の前で優雅に舞い始めました。女王蜘蛛が火の鳥を見付けたようです。
 その証拠に、ガラス窓に蜘蛛の目を貼り付けてます。火の鳥たちはそれを確認し、長く美しい尾羽を振り振りさせながら、ゆっくりと上方へと舞い上がって行きます。それに魔法を掛けられたかのように、女王蜘蛛が乗るガラス箱のケーブルカーが上昇し始めました。

「おっおー、あいつ、引っ掛かったぞ!」
 私たちはもう拍手です。そして火の鳥は巧みに土蜘蛛星人の悪の首謀者を地表へとおびきだしたのです。もちろんそこまでの間、たくさんの兵士蜘蛛が火の鳥に襲い掛かろうとしましたが、火の鳥を捕まえて食べることができるのは女王蜘蛛だけです。他の蜘蛛たちは火の鳥を殺すわけにはいきません。
 また、たとえ襲い掛かったとしても、火の鳥ですから熱く、反対に焼き殺されてしまいます。そんなことで兵士蜘蛛たちは、ただただ傍観しているだけでした。

 百鬼洞窟から現れ出てきた女王蜘蛛、久しぶりの外界なのか初め茫然とし、しばらくじっとしていました。そんな目の前で火の鳥は優美に、いや実に美味しそうに舞い続けています。そして満を持して女王蜘蛛は火の鳥に飛び掛かりました。確実に10メートルはジャンプしたでしょうね。

 しかし、火の鳥たちはまことに素早かったです。翼を一振りすると同時に羽根を折り畳み、まるでロケットのように一直線に天空へと飛び立ちました。

 バシャバシャ……バシャバシャバシャ……、バッシャ!
 土蜘蛛女王がナノチューブの蜘蛛の巣に掛かりました。八本の足や頭に糸は絡まり、藻掻(もが)いています。しかし藻掻けば藻掻くほど糸が纏わり付いていってます。さすがナノチューブで編まれた巣、強くて破れません。ざまあ見ろってんだよ!


作品名:四神倶楽部物語 作家名:鮎風 遊