四神倶楽部物語
私たちが練り上げてきた策、それは女王蜘蛛を地底からおびき出し、百鬼洞窟の入口に張ったナノチューブの蜘蛛の巣で絡め捕ろうというものです。
そのためには囮(おとり)がいります。その段取りのために、私たちは秘密基地から樹海の結界内へと戻りました。
「龍斗、この子たちまるまる太って、ホント美味しそうだわ」
ミッキッコはカプセル内から、囮のアニマノイド三羽を抱えて出てきました。私はそれを見て、美味しそうというより美しいと思いました。ミッキッコはちょっと私とは視点が違うようです。
囮となる三羽のアニマノイド、頭に赤い冠を被り、尾は赤く長く、もちろん目はエメラルドグリーンです。そして姿全体は黄金色に輝き、キラキラと火花を散らせてます。
そんな囮たち、そう、それは女王蜘蛛の大好物の──火の鳥です。
私たちの作戦は、このアニマノイドたち、三羽の火の鳥を地底深くまで飛ばし、憎き女王蜘蛛を地表までおびきだそうというものです。
「うまくいくと良いけどね」
私がちょっと自信なげに漏らしました。するとミッキッコがえらい剣幕で「龍斗、なに言ってんのよ。魔鈴さんが私たちのために、一番高度な知能をこの子たちに搭載してくれたのよ。魔鈴さんは妹さんでしょ、もっと信じてあげなさいよ」と叱責してきました。
「うん、そうだな」
私はミッキッコに怒られてそうとしか返せません。そんな時に、準備万端となったのか、悠太が「頑張ってこいよ!」と火の鳥のアニマノイドを百鬼洞窟へと放ちました。火の鳥たちは実に優雅にひらりひらりと入口へと飛んで行き、穴へと入って行きました。
私たちは再び秘密基地へと戻り、火の鳥たちが感知する視覚情報をスクリーンに映し出しました。それを見てやきもきしながら、少し時間が掛かりましたが、火の鳥たちは女王蜘蛛のいる地底まで辿り着きました。もちろん火の鳥ですから、そこはマグマ溜まりの近くで高温ですが、別に問題ありません。