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四神倶楽部物語

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「お兄さん、今到着したよ」
 ここまで女王蜘蛛退治の準備を進めている時に、私たちの背後から声が掛かってきました。私たちはその声で振り返りますと、そこにはカプセル内から飛び出してきた魔鈴が立っていました。
「魔鈴、よく来てくれたね。ところで、どのようにして、ここまでやってきたの?」
 私はなぜ魔鈴がカプセルから出てきたのか不思議で尋ねました。すると魔鈴は、ブルーの作業服をすでに着用していて、その裾を引っ張りながら教えてくれました。

「もちろん、宇宙貫通カプセルに乗ってよ。このカプセルは二重構造になっててね、同じ道を通って、このカプセル内に到着できるように設計されてるのよ」
 私は「ほー」と驚くしかありません。まあそれはそれとして、今はその高度な技術の解説を受けてる場合じゃないです。私は魔鈴に、「早速だけど、あの子の組み立てお願いね」と頼みました。魔鈴はそれに快く、「あの子の部材は運んで来たから、それで頑張ってみるわ」と言い、気合いを一発「ヨシ!」と。

 そして休憩を取ることもなく、すぐに作業に掛かってくれました。私たち四人も精一杯あの子の組み立ての手伝いをし、二時間ほど掛かったでしょうか、見事完成したのです。

 あの子は今、私たちの面前に威風堂々の姿を見せてくれています。これは本当に感動ものでした。そのあの子とは、グリーンスターの大空に悠々と飛翔していた──翼竜のケツァルコアトルスです。
 翼の開長が10メートル。もちろん動物の知能ロボットのアニマノイドで、緑目をしています。時々「ニッ」と笑ってくれて、もう可愛いったらありゃしません。そんな翼竜を私が太郎と呼び掛けていたら、「この子、太郎じゃないわ、女の子よ」とミッキッコが文句を付けてきました。それに佳那瑠が横から「太郎じゃ嫌だよね、花子ちゃん」とあの子を撫でています。まあ、これで無理矢理に名前が決まっちゃったわけです。

 魔鈴はそんな花子に頬ずりをし、「花子を、みなさんに譲渡しますから、大事にしてやってね。じゃあ、私帰るわ。グッドラック」と言い、カプセル内にあるカプセルに乗り込んで、さっさと帰星して行きました。

 魔鈴がいなくなり少し寂しい気分にもなりましたが、私たちはそんな感傷に浸っている場合じゃありません。まだやるべきことがたくさん残っています。そして、次にやるべきことは百鬼洞窟内の探索です。誘拐された四人の幼稚園児とバスの運転手、それに一人の保母さん、さらに若きニューリーダーの坂本氏、彼らは百鬼洞窟の地底のどこかに捕まっているはずです。


作品名:四神倶楽部物語 作家名:鮎風 遊