四神倶楽部物語
この遠く離れた樹海の中にありながら、京都の秘密基地のすべてのシステムが使えるようになったのです。言葉を換えれば、この樹海の中に結界が張られた40メートルの円内、そこは京都の本拠点の出張所のようになったのです。
そして私たちはケースから、大きさは25センチくらいはあるでしょうか、二匹の古代蜘蛛、そのインセノイドを取り出しました。それへの通信をONとし、赤目が点灯したことを確認し、インセノイドに蜘蛛の巣作成の指示を出しました。
糸はもちろんナノチューブで、径1ミリのものを選びました。その太さであれば、たとえ1本でも1トンの外力に耐えられるます。
そんな強い糸で二重にも三重にも織った蜘蛛の巣、相手がたとえ5メートルもある土蜘蛛の女王であっても、一度絡まればそれを破り脱出することは不可能です。それほど強い蜘蛛の巣なのです。そして大きさは、大きな女王蜘蛛がすっぽり包み込んでしまうことができるように、直径20メートルと設計しました。
悠太がナノチューブの巻かれたドラムから糸を引き出し、その先端を古代蜘蛛のインセノイドに掴ませました。そこからせっせと巨大な蜘蛛の巣を編み出したのです。そして二匹の古代蜘蛛の効率の良い組作業で、なんと一時間弱で完成させてしまいました。
その後、グリーンスターから送られてきた300羽のカナリヤのアニマノイドを作動させました。そして、この巨大な蜘蛛の巣に、私たちが絡まらないように気を付けながら、カナリヤたちにくちばしで摘ませました。それからカナリヤたちは一斉に飛び立ち、蜘蛛の巣が広がった状態でふわりと持ち上がりました。そして、女王蜘蛛が潜む百鬼洞窟の入口へと遠隔操作で運ばせ、そこにしっかりと張らせました。
魔界王ネット百科事典の情報では、土蜘蛛星人は聴覚能力や電磁覚能力は高いが、視覚能力は低い。大きさ1センチ以内の物は視覚識別できません。したがって、径1ミリメートルの糸は見えず、それで編まれた蜘蛛の巣は認識できないはずです。