四神倶楽部物語
そうなのです、みんな何をすべきかわかってるのですよ。
私はみんなの心の内を読み、自分なりの覚悟を決め、「いよいよ俺たちの出番になったのかもな。さあ、みんないいか、俺たち四神倶楽部の行動を具体的に開始しよう」と全員に号令を掛けました。
「了解!」、全員は力強く返してくれました。
そこからです、現実のミッション遂行が始まったのは。
3ヶ月前に、この秘密基地に初めて入り、それからというものは、私たちは毎夜、それぞれのアパートやマンションの部屋の扉を通ってここへ通いました。そして私たちなりに一所懸命訓練を重ねてきました。したがって、もうどのように動けば良いかはわかっています。
まずは徹底した現状解析。早速、コンピューターにインストールされてる魔界王解析システムを使って、幼稚園児と若きリーダー坂本氏の二つの事件の解明に入りました。
早速、佳那瑠から「みんな、ちょっとこれ見て、なにか変よ」と呼び掛けがありました。私たちは一斉にパソコンの画面にある映像を覗き込みました。
そこには坂本氏が演説の壇上で、一瞬に消えてしまう動画がありました。 みんなそれが不可解で、目はまさに釘付けです。
「だけど、なにか変よ」
佳那瑠がこう呟きましたが、その意味がよくわかりません。
「佳那瑠、どこがおかしいと思うの?」
私がそう聞き返しますと、佳那瑠は画面に真っ赤なマニキュアが塗られた指先を持って行き、「ようく見ていてね、一瞬だから、……、今よ」と声を発しました。
あとは「わかった?」と訊いてくれたわけですが、確かに私はそれに気付きました。そしてミッキッコも一瞬のことですが、見て取ったのでしょう、「そうね、ホントにおかしいわ。坂本氏が消える瞬間だけど、ちょっと影があるように見えるわ」と答えました。私も瞬時ことですが、同じものが目に入りました。
「佳那瑠さん、その映像を前のスクリーンに映してくれない。それからその瞬間だけを、目一杯に時間スピードを落としてみて」
佳那瑠は私の要求にすぐさま「了解」と答え、パソコンのキーボードをトントンと叩きます。そして30秒も待たない内に、若きリーダーの坂本氏が消える瞬間が映し出されました。