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四神倶楽部物語

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 幼稚園児、四人が誘拐される。それとも──神隠し?

 こんな見出しで新聞はセンセーショナルに報じていました。またTV報道番組でもひっきりなしにそのニュースを流し続けています。
 その内容とは、八人の園児が送迎バスで帰宅する途中、まず四人はバスから降り家へと帰りました。その後、バスは残った四人の園児たちを乗せ、次の地区の停車場へと走り出しました。

 しかし、住宅街の角を曲がった所、少し死角になっている場所ですが、そこで四人の園児たちは忽然と消えてしまったのです。その上に、バスには運転手と一人の保母さんが同乗していましたが、彼らも同じように消えてしまいました。そして幼稚園バスだけがそこに残されてありました。

 これは誘拐か、それとも神隠しかと世間は大騒ぎとなっています。当局は必死の捜索をしていますが、目撃者もいなく、まったく手掛かりがありません。

 それから3日が経ちましたが、相変わらず解決の目処が立っていない状況が続いています。そのためか世の中の母親たちの不安は増幅し、社会全体が騒然となってきています。

 その後、幼稚園児の事件から1週間も経過しない時のことでした。第二の事件が起こったのです。
 それは関西地区の若き政治リーダーの坂本氏が講演会の壇上で、突如演説中に消えてしまったのです。坂本氏は実行なき民主主義、今の日本の動かない政治の原因はその仕組みにあるとし、現在の中央集権のあり方にアンチテーゼを唱えてきました。
 その変革の一つは東京の一局集中を壊し、道州制を導入すること。最近ではさらに考えを膨らませ、地方の独立を主張し始めています。

 確かに現状の日本、地方は病み、国土は荒廃し、経済も、そして人の心も疲弊し切ってます。坂本氏は、地方の人たちから見て、世直しをしてくれる新星であり、期待が持たれています。だがその反面、既得権益を守ろうとする人たちや、中央集権下で現状維持を標榜する人たちの中に、あまたの敵がいます。そんな坂本氏が聴衆の面前で、なんと神隠しに合ったのです。国民はこれには驚きました。

 この一連の出来事、四人の幼稚園児は跡形もなく消え、また若い政治リーダーは聴衆の面前で忽然と消えてしまったのです。マスコミはこれらの事件を連日大々的に報じてます。そのためか、もう社会全体が浮き足立ってきました。


作品名:四神倶楽部物語 作家名:鮎風 遊