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四神倶楽部物語

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 私はこれを聞いて、これこそが目から鱗が落ちるということなんでしょうね。そうなのです、扉は佳那瑠の得意技。京都の秘密基地への扉を貼り付けてもらえば良いのです。

「そらそうだな、お願い、ぜひそうしてよ。ところで、どこへ扉を貼り付けるの?」
 私が尋ねますと、佳那瑠は「ふふふ」と含み笑いをして、オフィスの他の人たちに聞こえないように、小さな声で。
「入口の扉は、私たち四人が住んでるアパートやマンションよ、それぞれの部屋の壁にペタッと貼り付けてあげるわ。もちろん出口の扉は秘密基地の部屋の壁よ。これはいつも開けっ放しにしておくから、いつでも東京の自分の部屋から、基地へと入ってこれるわ」

 私はこれを聞いて、確かに、いつぞや貼り付いた禁断の扉も、ホテルのコネクティング・ドアーのようにこちらと向こう側に二枚の扉があったなあと思い出しました。こんな思考プロセスを経て、嬉しく、天にも昇る思いになりました。そして思わず我を忘れて、佳那瑠にギュッとハグをしてしまいました。

 バシッ!
 いつの間にか横に来ていたミッキッコ、彼女から思い切り後頭部を殴られたわけでして……。
「龍斗、佳那瑠ちゃんに手を出さないで。これって、セクハラだよ」
 ミッキッコが大変な剣幕です。
 私は「ごめんごめん」と当の佳那瑠には謝らず、筋違いのミッキッコに平身低頭です。そんな行動に出てしまった私に、佳那瑠が耳元で囁きました。「ミッキッコはね、龍斗さんのことを、気に入ってるんだよ」と。
 私はオフィスの中で、業務中でありながらもそんなことを聞かされて、なにか不思議な気分となりました。


作品名:四神倶楽部物語 作家名:鮎風 遊