小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

四神倶楽部物語

INDEX|117ページ/149ページ|

次のページ前のページ
 


 旅は終わり、私たちは元のネット通販会社の仕事へと戻りました。
 夏期休暇明けで忙しく、あっと言う間に九月となってしまったわけですが、私は業務の都合上、しばらく四神倶楽部の活動から遠ざかるを得ませんでした。しかし、魔鈴たちと四神同盟を結んだことでもあり、放っておくわけにはいきません。

 旅も終わり、グリーンスターの地底ホテルを出立する朝、私たちの決意を魔鈴たちに告げました。四神の本来のミッション、愛する星や国を守る、故に日本を守ることにしますと。まことに立派な決意だし、それを粛々と実行したい。しかし、具体的に何をして良いのか、まだよくわかりません。されどです、私たちは話し合い、とにかくいざ鎌倉に備え、下準備だけはしておこうと決めました。

 しかれども、ここで難問が。魔鈴たちが準備してくれた私たちの秘密基地、それは京都の御所近くの町屋にあり、なかなかそこへ行くチャンスがありません。そのせいか私はまだ一度も訪ねたことがありませんし、正直どうしようかと迷っていました。そんな時に、やっぱり仲間ですよね、佳那瑠が提案してくれたのです。

「龍斗さん、京都って新幹線に乗って行かないとダメでしょ。時間も取れないし、邪魔くさいと思ってるのでしょ。私がなんとかしてあげるわ」
 パソコンに頭を突っ込むようにして、私がパワーポイントで資料を作成していた時のことでした。佳那瑠が画面を覗き込むようにしてそばに寄り添ってきて、そう囁きました。私はずっと秘密基地のことが脳の奥深い所にこびり付いていて、佳那瑠のこんな申し出にパッと目を大きく見開きました。

「えっ、佳那瑠、頼むよ。それで、どうするの?」
 私は嬉しかったですが、佳那瑠が何をしてくれるのかがわからず聞き返しました。すると佳那瑠は妖しく笑みを浮かべ、一言だけを口にしました。
「扉よ」


作品名:四神倶楽部物語 作家名:鮎風 遊