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四神倶楽部物語

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 私たち四人は足を思い切り伸ばし、しばらくくつろいでいますと、お婆さんが奥の部屋から古い小さな箱を抱えてきました。そして私たちの目の前にそれを置いて、おもむろに開けます。私たちは身を起こし、何だろうかなと覗き込んでみますと、箱の中には径が3センチほどの四つの玉が入っていました。

「おばあさん、これ、何なの?」
 悠太の問い掛けに老婆は、私たち四人の顔をもう一度しっかりと見据えて、一つ一つの玉を取り上げ、それぞれの手に握らせてくれました。
「これはね、お前たちの親から預かってたんえ。四神の子孫として、いつかきっと覚悟する時がくるだろう、その時、ここの泉を通ることになるだろうから、渡してやってくれと言付(ことづ)けられてたんだよ。さっ、この黒玉は玄武の悠太へ、青玉は青龍の龍斗さ、白玉は白虎の佳那瑠だんべ、それからこの赤玉は朱雀の美月子なんよ、お前たちのそれぞれの守り玉だんべ」

 私たちはそれぞれの玉を受け取りましたが、訳がわかりません。
「おばあさん、守り玉って?」
 ミッキッコが尋ねますと、老婆は「さあ、それをぎゅっと握ってみやしゃんせ。ほんでから握った手を前へ突きだして、みんなで重ねっちゃ。そして目を瞑って……、何か見えへんかえ?」とニッコリと笑ってます。

 私たちは言われるままにやってみました。すると、「あっ、見えたわ。おばああさん、これ、何?」と佳那瑠がすぐに声を上げました。私も動物のようなものがそこにいるのが見えました。
「見えただろうが、それがお前たちの守り神の──五神の麒麟だよ」
 老婆がそう語ると同時に、私たちは思い出しました。あれはそうですね、私たちが四神倶楽部を結成するために居酒屋に集まりました。そしてその最後に円陣を組んだ時に、かすかに現れたのです。

 ミッキッコも思い出したのでしょうか、「あの麒麟さんは、私たちの守り神だったのね」と記憶を辿ってます。
「そうだよ、これからのお前たちの人生、時として決断を迫られ、迷うこともあるだろうべ。そんな時に、そうやって守り神に相談するのも良かろう。ちゃんと行くべき道を教えてくれるっちゃ」


作品名:四神倶楽部物語 作家名:鮎風 遊