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四神倶楽部物語

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 地球への帰還、ゴーという音とともに、奥深い森の泉の底から宇宙カプセルは浮き上がり、観音さま桟橋に停泊しました。
「無事に戻って来たようだね。さっ、降りよう」
 私たち四人は再び身体を膨らませ、お土産が一杯入ったキャリーバックをよっこらせと引っ張り、桟橋へと降り立ちました。

「おーおー、可愛い孫たちよ、おかえりやす」
 白髪の老婆が皺一杯の顔に笑みを浮かべて、私たちを迎えてくれました。「おばあちゃん、帰ってきたよ」ミッキッコと佳那瑠が老婆へと駆け寄り、思い切り抱き付いてます。
「おお、そうかいそうかい、お嬢たち、それは良かったのう」
 老婆は今にも涙を零しそうな二人がよほど可愛いのか、よしよしと二人の身体を摩ってやってます。

 そんな時に、カプセルはまるで船の警笛のようにボーボーと音を発し、オパール色に輝きながらボコボコボコと青い泉の奥底へと潜って行きました。私たちは名残惜しく泉を覗き込むようにして、精一杯手を振って見送りました。

「さっ、孫たち、こちらへきやしゃんせ」老婆はそう言って、私たちを森の中にある大きな屋敷へと案内してくれました。そして、そこには立派な池泉回遊式(ちせんかいゆうしき)の和風庭園があり、それが一望できる座敷へと通してくれました。

「結構長旅だったからな、戻ってきて、こんな景色を眺めたら、ほっとするよな」
 私たちは無事に戻ってきた安堵感で、気持ちはもうゆるゆるです。
「さあさあ、一服していきんしゃい」と老婆は抹茶を点ててくれました。それを遠慮なく頂き、横に添えてある京和菓子を摘みました。
 口の中で苦さと甘さが交錯し、その微妙なハーモニーが旅の疲れを癒やしてくれました。


作品名:四神倶楽部物語 作家名:鮎風 遊