Magic a Load
リチャードは前々からフランシスの事が苦手だったのだ。フランシスは厭らしい笑みをリチャードに向け語りかけるように言う。
「なぁなぁ、リー。どうだったんだ?この洞窟の奥そこってさ。どんな"魔物"や"悪魔"に出会ったんだい?俺、凄くそおゆうのに興味があるんだ。」
リチャードは目を泳がせ口をごもらせ言った。
「・・・とても・・・気持ち悪い場所だったよ・・・・。自分の姿も消されてしまうんではないかって・・・・思うほどに・・・・・。」
フランシスはリチャードの言葉に甲高い声で笑い出した。"たまらねぇ"というような笑い声にシンたちにはそう聞こえた。
シンは苛立ちを感じフランシスに強い口調で言った。
「フランシス・・・お前、何が言いたいんだよ。それにリーって呼び名は俺だけが呼んで・・・。」
シンは身をひっぽ引いた。フランシスは気味悪く伸びきった人差し指の夢をシンの首元をツーッと軽くなぞる。フランシスはさらにシンに顔を近づけ言った。
「、、この先はもっと凄いよ。そんな事を言っていられなくなるくらいね。」
シンの首元に軽く血が垂れるのを見るとリチャードは叫んだ。
「止めろよ!!・・・・そんな事はどうでもいいんだよ。サラを"あの方"の元へ連れて行って早く元の姿に戻さないと・・・。な・・・そうだろ?フランシス。」
リチャードは上目遣いでフランシスを見つめる。フランシスはシン達全員を見てサラを引っ張り上げ掴みさらに嬉しげな顔で言った。スクールに行っていた時のフランシス・バッカスとは思えないほど強きなフランシス・バッカスが此処に存在した。
「ではでは、みなさんを"闇の冒険"へとご案内しようじゃないか。」
リチャードが唇を強く噛み締めていたのをディビットとニックは見逃していなかった。
・・・・そしてシン達はフランシスの後に続いた。
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「えっと、Hi,巨大ゴブリンちゃん。すっげぇ・・・・俺、今までの中でこんなにソワソワしたの今日がはじめてだよ。どうしようジェイコブ。」
アンディの瞳はいつも以上に輝いているのがジェイコブにははっきりと解った。
こんな暗闇の中でも。黄色と茶色が混じった瞳が今日は黄金に輝いて見えている。
アンディはよっぽどゴブリンに会えた事が嬉しいのだろうか。
そんなアンディにジェイコブは深い溜め息をつき言った。
「・・・・俺は・・・早く帰りてぇ。ねぇあんた、帰り道知らねぇ?さっさとこの場からニューヨークに帰りたいんだけど?」
しかし巨大なゴブリンは何も答えずまた真っ白い息を鼻から吹き付けるだけだった。
アンディは横を通って行った小さなゴブリンに目をやる。小さなゴブリンは巨大なゴブリンの太い腕を伝い肩の方へと急ぎ足で行き立ち止まった。
すると気味悪いゴツゴツとした大きな耳にひそひそと何か話している。
アンディとジェイコブは互いに顔を見合わせた。
小さなゴブリンは再び肩から駆け下ると巨大ゴブリンの横にちょこんと突っ立っている。
暫くすると巨大ゴブリンは低い声で唸った。とれも低い声だ。
アンディは背筋にゾクゾクするものを感じた。顔はとても嬉しい表情をしていた。逆にジェイコブは低い唸り声に身震いし顔色も悪くなった。
自分の体を両手で包み込こむ。
「なぁ、アンディ・・やっぱり、このまま大人しく引き下がってさ・・・」
「しっ!!」
アンディは静かにと合図するとジェイコブはむすっとしそこら辺に転がっている黒い小石を蹴った。
巨大なゴブリンは大きな体をものすごい音を立てながら二人の方に再び振り向く。
巨大なゴブリンは低い声で言った。
「駄目だ、貴様らは返さない。此処へ足へ踏み込んだ者はみんなもう俺の下僕なのだ。
それにこれからお前達の宴を始める。お腹も減った頃だろう?」
巨大なゴブリンは満足げに二人を指さした。
ジェイコブは大声で叫ぶ。
「ふざけるな!俺らは・・・・・・・・・。」
ジェイコブはガクンと両膝を床に着くとぎゅるるる~と大きな音が洞窟内に響き渡たった。ジェイコブの体はいつも正直だった。
ジェイコブは顔を真っ赤にさせているのを見てアンディとその場にいた数人のゴブリン達はくすくすと笑っていた。
アンディは肩を竦め言った。
「ジェイコブ、君は本当にファンタジーの世界を知らないんだね。こおゆう時は素直に従うべきなんだよ。ね?」
ジェイコブの肩をぽんぽんと叩くと小さなゴブリン達に腕を捕まれた。ジェイコブは反抗したが小さいくせに力はジェイコブの数倍あるようだった。
そして二人は再び暗闇の奥底へと案内されたのであった。
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「で、俺らは何処へ案内されるんでしょうか?」
シンの声は先頭に居るリチャードとフランシスの場所まで響き渡る。
が、返事はなかなか返ってこない。シンはむっとしさらに大声でさっきと同言葉をまた言った。
「というか何でお前がそんなリーダーシップみたいになっちゃってるわけ?
リーは構わないとしてさ。お前だよ。お前、フランシスさん?」
するとフランシスは足をぴたっと止め後ろを振り向きずがずがとシンが居るほうへと突き進んでいく。
サラサラとした長い髪の毛がシンの顔をサラっと伝う。その髪の毛にシンは迷わず息をかけた。シンがあまりにも苛立ちを感じたのかフランシスの片方の目から顎まで垂れ流している髪の毛をはらおうとしたら凄い力でシンの腕はフランシスに捕まれてしまった。
「中学の頃から気になってたんだけどお前ずううっと右側の髪の毛長いよな?何で?
それとも、それは"俺は根暗ですっ"って強調しちゃってるとか?うはー。超根暗!!」
フランシスがシンの胸倉を掴もうとしたがディビットに止められた。
ディビットは呆れながらフランシスとシンを見やった。
そして低い声で言った。
「いいから、さっさとお前は先頭に立って案内しろ。お前は少し黙っとけシン。俺の隣で歩くんだな。」
シンは大人しくディビットの隣に並び歩くことにした。
フランシスはふんっと強く鼻で言うとずがずがとリチャードが居る先頭の方に戻った。
そんな3人を見てバーバラがそっと呟く。
「大丈夫かしら、この先・・・・」
ニックは首を傾げ問いかける。
「どうしてそんな事を?」
しかしバーバラはただ首を横に振ってこう答えただけだった。
「何でも無いないわ。さぁ、先へ急ぎましょう。ね?」
そして8人はまた暗闇の奥底へと突き進んで行ったのだった。
暗闇の奥底へと進んで行くと8人の目に映ったのは真っ黒い岩の上に座っている一人の男だった。先に進んで居る時に、ところどことで妙な叫び声も聞こえたのだがそれを一番気にしていたのはリチャードだけだ。
リチャードはジェイコブとアンディが心配で仕方ないのだろう。
多分、リチャードには岩に座っている男など眼中に入っていないようだ。
最初に岩の上に座っている男に声をかけたのはフランシスだった。フランシスは妙な走り方でその岩の上に座っている男に近寄る。
そして厭らしい手つきで岩の上に座っている男の胸元をそっと撫で耳元で囁いたのだ。
「待たせてしまって、すみません。クロウリー師。」
フランシスがそう言うとクロウリー師はいかにも魔術的な格好をした服を無駄に手ではらい
自信満々に言った。
作品名:Magic a Load 作家名:悠華